借りた服がデカい
中性的な人だから普段はわかりずらいけど、体型は男性なんだな。腰回りのゴムがずり下がらないよう、用心しながら部屋に戻りました。
ドアを開くとテーブルには、導入液・化粧水・乳液・アイクリームが用意されてました。
アメニティの揃え方がホテル。
私「お風呂ありがとうございます」
ヴィヴィアンくん「ああ、おかえりなさい。電気落としましょうか?」
私「なんで??」
怪訝な顔で見られました。
やや会話が噛み合わない相手っていませんか。私にとってヴィヴィアンくんがまさにそれ。女性のスッピンを見ないよう配慮した言葉を理解できない。
相性だね。
電気は消さず、ガラステーブルの狭い方に座りました。
グラスの配置的に、隣に座ることを想定されてたっぽい。さっきの居酒屋も横並びだったから?
でも隣は変だよね。
ヴィヴィアンくん「あれ。隣座らないんです?」
私「横並びって変じゃないですか」
ヴィヴィアンくん「アンタがうちにいる時点で変でしょ」
たしかに…
ヴィヴィアンくんは片足を抱き込むようにしてケタケタ笑ってました。会社にいるときの空気とが違って、男の子っぽい無邪気さが可愛い。ヴィヴィアンくんって甘い顔立ちだから、笑うと幼くてかわいい。
年上でも年下でも顔が良い人は好き。
ヴィヴィアンくんは自分の隣をぱんぱんと叩いて私を呼びつけました。
ヴィヴィアンくん「居酒屋は隣だったのに。もしかして俺警戒されてます?」
私「適切な距離ってあるじゃないですか」
ヴィヴィアンくん「池袋さん"は"俺が近いの嫌なんですか?」
私「考えたこと無いです」
ヴィヴィアンくん「考えて」
嫌じゃないよ普通に
考えるまでもなく。
てか嫌じゃないから難しい。
隣に座るくらいのことで頑なに断り続けるのも変?
さっきの個室居酒屋は隣だったし。
私が意識しすぎてるだけ?
私「嫌ではないです」
ヴィヴィアンくん「じゃあ問題ないですよね」
これって問題ないの?
適切な距離が取れないことはある意味問題では。
ヴィヴィアンくん「隣きてよ」
私「うわ、急なタメ語」
ヴィヴィアンくん「来てください?」
若くて肌が綺麗。容姿が整ってる。体型が管理されていて清潔感がある。相手の見た目が良いと嫌悪の反射がない。
嫌悪感で距離を取りたいときは楽だよね。距離が近くても嫌悪感がない場合のほうが厄介。理性で距離を取らないといけないから。
今回は特にそう。
相手が年下で私が年上で、もしかすると相手の嫌悪感の範囲に私が踏み込むかもしれない。
私「何があっても責任は取れませんよ」
考えても仕方ないか。
強気で行こう。
ドスドスと音を立てて隣に座ると、ヴィヴィアンくんは笑って立ち上がりました。長い足がすらりとテーブルを跨いで、私が座っていたところに移動して…。
ハァ?
ヴィヴィアンくん「場所交代。池袋さんが座ってたところ暖房が直で当たるから喉痛めますよ」
私「最初からそう言ってよ!!!」
どうして試すような事するの!?
飲むと寂しくなる? なんでからかうの? そうやって振り回されるのわりと好きだからほんとやめてほしい!
ずっと、男女であれば私が優位だったのに、年齢が絡むとわかんない。26歳過ぎた辺りで一気に難しくなった。
私が気難しい顔をしていたからか、ヴィヴィアンくんは意地悪そうに口角を上げました。
ヴィヴィアンくん「俺は構わないんですよ。男だし。隣でも横でも上でも。ただ、アンタがずっと俺との距離感を測りかねて変な空気出すから、あんまり近づかないようにしてあげてるんです」
私「…ヴィヴィアンくんって、言わなくていいこと口に出しますよね。私はヴィヴィアンくんが嫌な気持ちにならないよう、距離感を考えてたんですよ」
ヴィヴィアンくん「池袋さんは人と距離近いじゃないですか。鳥羽さんとか」
なんで鳥羽さんの名前が出るの!?
鳥羽さんと近い!?
周りから見てそう見えるの!?
やばい、それは純粋に私の好意が漏れてるだけ…
私「それって噂になってたりします…? 私が鳥羽さんに対して距離が近いとか…」
ヴィヴィアンくん「いや知りませんけど。俺が見てそう思うだけです」
人の目に留まるほど近いのか。気になる相手にぐいぐい行く性格が災いしている。職場内だし身の振り方に気をつけないと…。
そわそわしてる私を見てどう思ったのか、ヴィヴィアンくんは続けて言いました。
ヴィヴィアンくん「鳥羽さん25歳ですよ」
私「鳥羽さん25歳!?」
ヴィヴィアンくん「俺の1個上」
私「ひぇ~。鳥羽さんすごぉ。大人に見える~」
ヴィヴィアンくん「俺は?」
私「ヴィヴィアンさんは次世代って感じ」
ヴィヴィアンくん「あっそ」
突然に電気が消えました。
テレビの光だけになった状態で、ヴィヴィアンくんが動く。大股2歩。私が背もたれにしているベッドに片足で乗り上げ、毛布を掴み、私の頭にぶん投げる。
私「ちょっと!!!!!!!!」
ヴィヴィアンくん「テレビが見づらいんですよ」
被った毛布を剥ぎ取ると隣から声がして、毛布越しに肩に腕がぶつかりました。
半身が触れ合う近さに驚くと、ヴィヴィアンくんは私の首元に指を引っかけました。スエットのゴムが伸びて胸元が大きく開く。
ヴィヴィアンくん「大きいね。中見えそう」
私「覗けば…見えますよ…そりゃ…」
ヴィヴィアンくん「池袋さんは俺に名前を取られたので、今後はラギって呼びますね」
会話が頭に入らない。
私を包んでいる毛布を、ヴィヴィアンくんが片手で手繰り寄せ、中に入ってくる。さっきの居酒屋みたいな近さではなく、もう完全に身体が触れ合ってる。
こ れ は …!!
私「…じゃあ、私はヴィヴィくんって呼びますね」
ヴィヴィアンくん「馴れ馴れしいですよ」
ヴィヴィくんは変わらず平静で、お酒を煽りました。同じ布団にくるまっているので、相手の動きに連動して毛布が引っ張られる。
ヴィヴィアンくん「体温高い方です? 体熱いですね」
私「…熱があるのかも?」
ヴィヴィアンくん「俺もあるかも」
私「………………マンフルって知ってます? 妻が風邪ひくと旦那も『俺も熱ある』って重ねるでしょう。そうやって微熱を大袈裟に話す男の人を揶揄した言葉なんですけど…」
ヴィヴィアンくん「遮って悪いんだけど、」
ヴィヴィアンくんは突然にっこり笑いました。
ヴィヴィアンくん「どこまで理解してます?」
もたれ掛かるように片腕をついて体を寄せてくる。
キスできる距離まで近づいて、目の奥を覗き込むようにじっとみつめられる。
やっぱそうだよね???
おかしいおかしいって何度も思ってたのに。何度もなんども打ち消して、思えばあれは自己防衛の一種だったのかもしれない。変な勘違いをして、痛い目みないようにするための。
冷静に考えておかしいでしょ…。
私「……三件目のコンビニ。『食器用洗剤ならありました』って言ってたやつ、もしかしたら嘘だったのかも…と察してるくらいは」
ヴィヴィアンくん「食器用洗剤"も"ありました」
私「…最初からですか?」
ヴィヴィアンくん「一番最初に言いましたけど、俺、気に入ったものしか部屋に持ち込まないんですよ」
こっっっrrrrrrrわ…
家の中に招かれるまでの流れが完璧すぎて今の今まで気づかなかった。床についた手に手を重ねられ、いよいよ状況を理解して肩を押し返しました。
どんなに顔が良くてもここで流されてはいけない。
私「安全だと思ってますよね、私のこと」
ヴィヴィアンくん「なにが?」
私「私さんざん愚痴りましたもんね、歳のこと。うまくヤレたとして、ぜったい『付き合って』とか言い出さなそうって思ったんでしょ。残念! めちゃめちゃ責任追及するタイプですよ私は!」
ヴィヴィアンくん「また変なこと言って…」
私「これは確信なんですけど!!」
重ねた手を振り払い、両手で自分の顔を覆ってガードしました。声がくぐもる。私が何の策もない網にかかった兎と思うなよ!
私「前々から薄々気づいてたんですけど……人事部の〇〇さん、ヴィヴィアンくんとセフレですよね!?」
ヴィヴィアンくんは
笑顔のまま私から体を離しました。
毛布がずり落ちて、適切な距離まで下がる。
私は勝利を確信しました。
ヴィヴィアンくん「………誰から聞きました?」
私「勘です。最初は付き合ってるのかと思ったんですけど、ビビくんは態度がよそよそしいし。〇〇さんは用もないのに制作フロアをうろうろするし」
ヴィヴィアンくん「あーーー…ね?」
私「ね? じゃないですよ!」
切り札取っといて良かった~!
カマかけで押し切ったけど、自白してくれて助かった。雰囲気をぶち壊すにはちょうどいい一撃でした。
セフバレしたら強引にはこないだろ。
ヴィヴィアンくん「…えー。まじで駄目ですか?」
私「そうやって〇〇さんも言いくるめたんですか」
ヴィヴィアンくん「あの人は最初から俺に気があったからもっと簡単でしたよ」
あーね。
顔が良いので正直どっちでも良かったのですが、私が今後しっかりした気持ちで鳥羽さんに向き合う場合、同じ社内にいるヴィヴィアンくんと関係を持つのは得策ではない。
私は恋がしたい。
つねに誰かを愛してたい。
興ざめしたのか一気に態度が悪くなったビビくんに「帰ります?」と聞かれたので元気に「帰ります!」と返事をして颯爽と帰宅しました。
,+
ヴィンテージマンション!!
ブルーの瓦屋根と凸凹してる白いスタッコ壁。上京してからよく目にする外観だったので「デザイン物件ですか」と聞いたところ「秀和レジデンス」という言葉を教えてもらいました。
むかーし流行った造りなんだって。
自由が丘とか渋谷とか吉祥寺とか、そういうオシャレな街によくみるやつ。南米風のテイストが可愛い。カモメとか飛んでそう。
門の前でヴィヴィアンくんが立ち止まりました。
ヴィヴィアンくん「ここで待っ…………あ。待って。アンタにメイク落とし貸したら俺が化粧落とせなくなる」
私「確かに。お風呂入ってきます?」
ヴィヴィアンくん「部屋入る?」
一瞬だけ躊躇いました
1秒いかないくらい。瞳が横に逸れるくらいの間。
ここで変に拒否したら防衛心の強い勘違いオバサンになるのではという恐怖が私をさいなむ。
でも冬前だし。
状況的に誰でも部屋にあげるよね。
外で待たせるわけにもいかないという親切心…?
というか外寒い。
私「わーい。ヴィヴィアンくんのお家! お部屋のなか探索していいですか?」
ヴィヴィアンくん「は~? 鎖で繋ぎますよ」
本当に持ってそう。
通された部屋は男性らしいモノトーンだったので意外でした。
靴箱とクローゼットが大きいの羨ましい。片づける場所があると部屋も綺麗になるからね。スタイリッシュな部屋でした。男性ってガラステーブル選びがちだよね。
てっきりサンリオの人形やエンジェルのボトルがあると思ったのに、そこにはゴスロリ服がありました。
半開きになったクローゼットの中に。
私「……良い部屋ですね!センスが良く!」
ヴィヴィアンくん「可愛いもの多いでしょ。俺、気に入ったものしか部屋に持ち込まないんですよ」
ヴィヴィアンくんがクローゼットを閉めました。がっつりスカートだったなあ…。触れないほうがいいよね。
ヴィヴィアンくん「先に洗面所どうぞ。スマホの充電は自由に使ってください。口開けてない水あるんで良かったら。これ新しいタオル」
お母さん?
気遣いがお母さんでびっくりしちゃった。
手を洗い、充電器を借り、水を飲んだところで、ヴィヴィアンくんがお風呂に向かいました。私は充電コンセントを借りながらスマホをみました。
新着LINEがひとつ。
鳥羽さんからでした。
鳥羽:お疲れ様。終電間に合った?
うわ…、返信むず。
私:お疲れ様です。終電は間に合いませんでした。でも飲みに付き合ってくれた人がいるので、居酒屋に行きました!
嘘ではない。
飲むために逃したか、飲んでたら逃したかは逆だけど「心配いらないよ」という気持ちがメインなので。
というか鳥羽さん本当に面倒見が良い。
班が違う私の面倒も見てくれる。
良い先輩だなあ。
と思ってたら電話がきました。
着信は鳥羽さん。
かなり焦った。
ヴィヴィアンくんはお風呂。急いで会話切り上げちゃえば大丈夫だと思う。LINEを返した直後だから電話に出ないのもおかしいし。
人の家で電話するのは嫌でしたが、背に腹は…と差し迫った状況なので、仕方なく応答しました。
私『お疲れ様です』
鳥羽さん『お疲れ様。ごめんね急に。いま居酒屋?』
私『いや…いまは相手の家で』
鳥羽さん『あ、よかった。泊めてもらえる感じ?』
たぶん女友達だと思ってる。
言葉を濁した自覚はあるけど現状を説明できない。
ズルい考え方だけど。
私『メイク落としが売ってなくて、相手の子が「うちにあるよ」って言ってくれたので』
鳥羽さん『そっか。よかった。ちゃんと帰れたか心配だったんだけど、目処がついてるなら良かった。お友達もいまいるの?』
私『いまお風呂に行ってて…』
鳥羽さん『そっか。ごめん、そしたら少し仕事の話してもいい?』
私『構いませんよ』
鳥羽さんのこういう、気遣いが好き。
言うことが好き。
言い方も好き。
15分くらい話しました。
納品後の手続きがあり、その説明を受けてたのですが…話の途中から気が気じゃなかったです。
私『大丈夫です! ありがとうございます! …はい、…はい! はい!! お疲れさまでした!!!!』
後半は力技で通話を切りました
仕事の話が頭に入らず。
聞いても聞かなくても同じな気がして。
通話終了後、そろっ…とドアに視線を向けました。
ヴィヴィアンくん「終わりました?」
タオルドライをしながら私を見下ろすヴィヴィアンくん。
若干機嫌。
私「お待たせしてしまいすみません」
ヴィヴィアンくん「いえいえ」
私「………仕事の電話で」
ヴィヴィアンくん「鳥羽さんね。聞こえてましたよ」
なにも言えず沈黙しました。
ドアの前で通話中の私を見下ろしていたヴィヴィアンくんは、テーブルの上にメイク落としを置くと、ベッドの上に腰かけました。
ヴィヴィアンくん、ジェラピケ着とる…
突っ込もうかと思ったけど、そういう空気でもない。
ヴィヴィアンくん「鳥羽さんと付き合ってるんですか?」
私「!? 違いますよ!」
ヴィヴィアンくん「付き合い"そう"なんですか?」
良い雰囲気ではある…!
語りたい。語りたいよ女子だもん。恋バナしたいよ、学生みたいに。でも同じ轍を踏むのは避けたい。
困ったまま沈黙すると、察しの良いヴィヴィアンくんはつまらなそうに目を細めました。だってウソを考え無しに吐いて辻褄が合わなくなるより、黙ったほうが賢いじゃん!
ヴィヴィアンくん「思ったんですけど、お酒飲みます?」
何を思ったの??
私「どういう…??」
ヴィヴィアンくん「このまま飲み直して、電車を待った方が効率良い気がして。あと1時間で始発動くし。風呂と部屋着は貸すので、明るくなってきたら家出れば?」
私「いやでも…」
ヴィヴィアンくん「暗いと俺が駅まで送らなきゃだし」
反論しずらぁ~
疑問形で投げかけてくるわりに冷蔵庫から酒を取りだしテレビをつけ、これが決定事項だとでも言うようにくつろぎ始めてしまったヴィヴィアンくん。まいど言い負かされるんだよなぁ。
そして始まる千と千尋の神隠し。
なぜ…
「俺見たことないんですよね」とか言ってた。業界人なのに。
会社の人の前でスッピン晒すのかぁ。
ちょっと抵抗あるなぁ。
でもヴィヴィアンくんも眠そうだし….
私「…わかりました。ジェラピケ貸してください」
ヴィヴィアンくん「さすがに厚かましくない??」
スエットを渡されました
メンズのジェラピケ持ってるならぜったいレディースもある筈なのに!対で買うじゃん!普通!
,+
ヴィヴィアンくん「てか終電大丈夫ですか?」
ラギ「大丈夫じゃないです。終わりました」
ヴィヴィアンくん「ウケる。泊めませんよ」
私に対する毒針強すぎない?
そのまま個室居酒屋に入りました。横並びの席に通されて心が死ぬ。
立ちはだかるカップルシート。あまりに距離が近くて2人とも苦い気持ちが表情に出ましたが、大人なので文句は言わずに着席。
向こうがカクテルを頼んだので私も同じものを注文しました。お腹が空いたと訴えてた割に食べものを選ばないので「好きなもの頼んでください」と勧めたら、アボカドやら海老やらを注文してました。女子か?
ヴィヴィアンくん「打ち上げに行ってたんですね。あとで気づきました。佐久間さんもきてましたか?」
私「え…はい。いましたよ」
ヴィヴィアンくん「佐久間さんが池袋さんとの食事を『スパチャ』って言ってました」
推しに貢いでる感覚が欲しいと頼み込まれたので、双方の利害の結果ですよ。
とは言えず。
だって佐久間さんのこと好きなんでしょこの人。私が何か言うたび噛みつかれても厄介だし。そうやって遠慮しながら話してるから会話が続かない。
ヴィヴィアンくん「佐久間さんにあれだけ好かれて、好きにならないんですか?」
ラギ「相手の好意を好きになるって事ですか?」
ヴィヴィアンくん「相手の好意を…? 相手を、です」
ラギ「? …え。ないですけど」
ヴィヴィアンくん「ふぅん。俺は結構ありますけど」
身動きするたびに空気が揺れて、食べ物を咀嚼してるときの間がしんどかったです。話が途切れたときは目が泳ぐ。緊張って相手にも伝わるんだよなあ。やだなあ。
ヴィヴィアンくんは私にぶつからないよう、少し壁の方にもたれながらお酒を飲んでいました。
私「佐久間さんは都合が良いんです。向こうがそういう風に振る舞ってる。都合が良くないと一緒にいてもらえないような、自分に不釣り合いの可愛い子ばかり好きになってたんじゃないですか? 今までも」
『顔ばかり重視して中身を見てない』って言葉があるけど、顔ほど裏切らないものって無いよね。
触られて反射的に「嫌だ」と感じる相手は遺伝子レベルで無理だよ。現に私、いまのヴィヴィアンくんと同じ近さに佐久間さんがいたら耐えれないもん。
好きも嫌いも本能だよ。
ヴィヴィアンくんだって見た目で人を選ぶことくらいあるでしょ。
私の言いたいことを理解したのか、ヴィヴィアンくんは静かな声で言いました。
ヴィヴィアンくん「佐久間さん、俺と食べるときも出してくれますよ。『奢る』って言いだすのが恥ずかしいんじゃないですか? 確かに面食いですが、あの人の優しさも嘘じゃないですよ」
私「…でもヴィヴィアンくんって同性として佐久間さんと関わってるでしょ。私とは立場が違うじゃん」
可愛いって言った口で年齢をイジッたり、結婚しない理由を勝手に想像されたり、そんな人ばかりじゃん。この会社。佐久間さんなんて外部の人間だったし、接点のない人に好意を向けられてるって知ったら気持ち悪いじゃん。
私「私は人のこと言えませんけどね」
ヴィヴィアンくんは持ち上げていたグラスを置き、隣にいる私の顔をじっと見つめました。
ヴィヴィアンくん「俺が嫌いですか?」
私「ヴィヴィアンさんが私のこと嫌いなんでしょ」
ヴィヴィアンくん「そこまで言ってません」
私「この間は不快な気持ちにさせてすみませんでした」
ヴィヴィアンくん「池袋さんのこと可愛いって言ったの俺なんです」
なんて????
もはや処理落ち。話が噛み合ってなかったよね今。よくわからずヴィヴィアンくんを見ると、彼は神妙な顔で目を細めました。
ヴィヴィアンくん「中途採用の張り紙。あれを最初に見たのが俺です」
私「はぁ…」
ヴィヴィアンくん「そのあと喫煙室で佐久間さんに『中途に可愛い子いましたよ』って話振りました。その中に上司さんもいて、喫煙室にいた何人か連れて写真を見に行ったんです」
私「あ…そうなんです…?」
ヴィヴィアンくん「池袋さんが年上なんだろうなって事は所属班で察してました」
所属班で年齢わかるの?
初耳なんだが。
確かに20代後半が多い印象だったけど。
ヴィヴィアンくん「その後の事は関与してないんですけど、上司さんに聞いたら、池袋さんを見に行った野次馬たちが年齢不詳だって騒ぎ始めて、SNSで個人情報を探し当てたって聞いて」
私「どう思いました?」
ヴィヴィアンくん「普通に気持ち悪いなって」
でしょ!?
ヴィヴィアンくん「俺が池袋さんに嫌な態度取った日、上司さんに飲み誘われて知りました。池袋さん、俺のせいで嫌な思いしてましたよね」
私「嫌な思いというか…うーん」
ヴィヴィアンくん「うちの会社男ばっかりだから。可愛い人が入ってきて浮足立ったんですよ。男って単純だから」
いやわかるよ。悪意はないんだよね。
男同士でつるんで、可愛い子がいたらちょっかいかけて。私が若い頃、気弱そうな女の子に絡んでたのと一緒でさ。相手が反応すると嬉しいんだよね。
わかるよ。
わかるけどさ。
私「私もう30歳になるんですよ」
ヴィヴィアンくん「知ってますけど」
どう言えば伝わるかな。
自分よりも年若いこの子に。
私「可愛いって言われて嬉しいですよ。でも……。可愛いって言われて、からかうみたいに声かけられて、やだぁ~って可愛く反応する歳じゃないんですよ」
私が20歳ならできたよ。
25歳なら苦笑いで済ませた。
30歳に向けた男性の『かわいい』は、誉め言葉に見せかけた中傷もあるじゃん。
「歳のわりに」「可愛い」んでしょ。誉め言葉を真正面から受け取ったら「歳考えろ」って平気で言うでしょ。謙遜しない30歳は鼻につくでしょ。
知ってるんだよ、そういうの。
私「男性って、勝手に注目して勝手に評価するから」
あー本音がこぼれる。
できるなら理性的でありたかった。
ヴィヴィアンくんは目を逸らさず聞いてました。
ヴィヴィアンくん「言いたいことはわかるんですけど」
私「20歳の女の子がヴィヴィアンくんに『かっこいい』って言っても問題ないですよね。でも私が言うとセクハラになるかもって」
ヴィヴィアンくん「言うて24歳ですよ俺」
私「私が24歳の頃は無敵だった…」
ヴィヴィアンくん「その卑下が良くないんじゃないですか?」
歳を重ねていくうえで、見た目に対する言葉の受け取り方が変わっていった。傷つけられたことに怒るより、傷ついた自分を恥じて、生き方がどんどん保守的になっていく。
年齢を堂々と言えるうちは分からないよ。
ほどよくお酒も入り、ほどよく打ち解け、ほどよく話したところで、そろそろ帰ろうという流れになりました。
奢る約束だったのに私がトイレ行ってる間に支払っちゃったらしく、日本酒ぱかぱか開けちゃった私は肝を冷やしました。
たぶん1万5千円超えてる…
私「せめて折半!レシート見せて!」
ヴィヴィアンくん「うるっっっ…さいな~。なんで佐久間さんには奢られるのに俺には食い下がるんですか」
私「あの人はマゾだからいいんですよ!」
ぎゃんぎゃん騒ぎましたがレシートは出されず。
ヴィヴィアンくんは背が高いので歩幅が大きく、油断すると置いて行かれます。
私「足早いですって!」
ヴィヴィアンくん「はぁ? なんで俺が歩幅合わせなきゃいけないんですか」
私は漫画喫茶、ヴィヴィアンくんは帰宅の流れです。
メイク落としが欲しくてコンビニを探してたら、土地勘のあるヴィヴィアンくんが連れてってくれました。しかしセブン・ローソン共に在庫切れ。
私が仕事の電話をしてる間にファミマも見てきてくれたんですけど、そっちも駄目らしい。
ヴィヴィアンくん「台所洗剤ならありました」
私「メイク落としが良いです」
遠ざかるオフィス街。
ヴィヴィアンくんの帰宅道ついでに寄れるコンビニを案内してくれてたので、どんどん閑静な住宅街へ…
ヴィヴィアンくん「ここから先のコンビニだと、俺ん家通り過ぎちゃいますね」
私「なら戻ります。駅前のドンキとか」
ヴィヴィアンくん「それかうち」
家?
私「行っていいんですか?」
ヴィヴィアンくん「中には入れませんよ。ただ、家にくれば化粧水と乳液のサンプルもあるから恩を売れるかなって」
私「言い方」
気遣いが女性のそれ
やっぱりこの人は性対象が男性なのかも。
上司と話すときやけに距離近いし。
アボカドと海老食べてたし。
駅から10分歩いたここで引き返すより、残り3分で着く確実にクレンジングがある家に向かう事にしました。
,+
私が悪いね
佐久間さんには散々「噂するな」とか「話題に出すな」とか言っておいて、自分も人の噂話してるんだもん。そりゃ嫌われるよね。
上司が珍しく気を遣って「話題に出たの一瞬ですよ」とか「今日が初めてです」とかフォロー入れてましたが、ヴィヴィアンくんには響かず。
別に上司のせいじゃないけどね。
あれ以降、思う所もあり口数が減りました。
本当に衝撃が大きかった。言い返せないことがキツかった。そもそも他人と雑談するからトラブルになるんですよね。仕事をする場所なんだから仕事をしないと。
上司「cut108フレームミス。これだとキャラの髪の毛が真四角に切れますよ」
私「修正します」
上司「こっちは200%で拡大してください」
私「ディテールの描き込み必要ですか?」
上司「要らないんじゃないですか? どうせ潰れるし」
私「わかりました」
上司「今日飲みに行きません?」
私「行かないです」
上司を経由しなければいけない確認事項だけ会話がありましたが、上司が雑談をふっかけてきても、飲みに誘われても、仕事以外の話はすべて「はい・いいえ」で流しました。
上司の事は嫌いじゃないけど、如何せん口が軽い。嘘はつかないけどデリカシーがないし、この人は社内でだいたい輪の中心にいるから、私と話した内容も筒抜けにされる。
気を許すんじゃなかった。
軽口に乗るんじゃなかった。
年下の子に指摘されて、何も言い返せないような行動を取るんじゃなかった。
上司は大きめのため息を吐きました。
上司「ビビくんって若いですよね」
私「はい?」
上司「未熟って意味で」
これは愚痴?
仲良いんじゃないの?
同情?
下手に反応したらまたややこしいことになりそうだし、無反応で通しました。もう鳥羽さんだけでいい。鳥羽さんとだけ話したい。
そして月日は流れ、秋
鳥羽班が完パケしました!!
長かった。
本当、会社内のすべての班をお手伝いしましたが、この班ほど先行きの不安な映画は無かった。
皆が口を揃えて「鳥羽班は闇を煮詰めた蟻地獄」と言っていた理由がわかる。
鳥羽さん「お疲れさま…(四泊三徹)」
私「おつかれさまでした…(虚無)」
この業界、〆切前はとうぜんのように徹夜前提のスケジュールで動くの本当によくない。
こうしてすべてが終わるとどうなるのか。
そう。
打ち上げです
鳥羽さん「いままで手伝ってくれてありがとう。池袋さんのおかげで本っっっっ当に助かった。池袋さんのおかげで終わったと言っても過言じゃないよ」
私「過言ですよ(笑)」
鳥羽さん「ごめん、打ち上げは強制参加なんだ…」
予想はしてた
関係者各位が参加する打ち上げに関して制作は強制参加です。担当じゃないけどね。もう班とか担当とか関係ないポジションだったので反論せず参加表明をだしました。すべては佐久間とかいう男と接点を持ってしまったせい。
打ち上げは新宿の会場で、30~50人くらいが参加していました。
ビンゴの景品に作品の円盤がでると萎える~~~!
できあがるまでに千回ほど目を通し、いつしかカット番号までもを記憶した作品の円盤をもらって嬉しい人いるの?私なんて自分の担当作品みてないよ。
「私服で来い」と言われ『どうせ接待役だろ…』と清楚系の服で参戦。女性陣は私だけがスカートでした。私が持ち得るすべての常識がこの業界では一切役に立たなくてウケる。
佐久間さん「らぎたゃ~」
私「あ。お久しぶりです」
佐久間さん「ごめんね俺、途中で匙投げちゃって」
私「本当ですよ。よく私の前に顔出せましたね」
途中辞退した佐久間さんも参加していました。
フッて以来だから数か月ぶり。
佐久間さん「仕事慣れた?」
私「さすがに慣れました」
佐久間さん「ヴィヴィアンくんの事だけど」
脈絡!!
しばらく仕事に専念して忘れ(ようとし)ていた人の名前を出されたのでドキッとしました。
佐久間さんは人の顔色を伺うタイプではないのですが、この日は妙に察しが良く「僕が言っておきましたから!」と気遣わしげに言いました。
佐久間さん「知らない間に個人情報を調べられた女性と! たかが数分、話題に出されていた男では! 被害に雲泥の差があると!! 言っておきましたから俺!」
また余計なことを…
私「上司の入れ知恵を感じる…」
佐久間さん「失礼な!俺の意見ですよ!」
私「どこ目線で話してます?」
佐久間さん「愛をこめて♡ラギたゃ目線です」
お前は加害者だよ
己の罪を忘れるのが早すぎる。
佐久間さん「俺言っておきましたから。ヴィヴィアンくんに。今日辺り連絡が来ると思います」
ラギ「えっ。連絡しろって言ったんです!?」
佐久間さん「LINE教えておきました」
私の個人情報はティッシュか?
軽すぎん? LINEのIDが人から人に流れることって滅多になくない? この会社に入ってから私の許可とって連絡先を交換したの鳥羽さんくらいなんだけど。
原画マンが昼夜問わず連絡を入れてくるので休日は通知を見ないようになっていたのですが、確認してみると本当に連絡がきてました。
ヴィヴィアン:ヴィヴィアンです
ヴィヴィアン:今日出社されますか?
ヴィヴィアン:お話したいことがあります。
今日は打ち上げ~~~!!
連絡ボード見てくれ…。勤怠表の上にあるんだから…。
数時間前に入っていたLINEに既読をつけちゃったので、すぐ返信しました。
ラギ:打ち上げ終わったら荷物置きに会社寄ります
ラギ:21時を回ります
すぐ既読がつきました。
ヴィヴィアン:了解です。
ヴィヴィアン:大丈夫です、待ってます。
待ってます?
仕事しながら?
それとも仕事終わりに私のこと待ってるの?
ニュアンスが汲み取れない!
最近の子は文字数が少なすぎる!
打ち上げが終わる時刻が20:00だったので21:00と伝えましたが、まぁ~~~~~~終わらない。
自分の立場が下っ端であることを忘れていた私は、閉会後に酔いつぶれた参加者さんのタクシーを手配したり各セクションごとに挨拶回りをしたり…
ラギ:すみません22時超えます!
ラギ:すみません23時回ります!
ラギ:ごめんなさい終電近くになりそうです…!
ラギ:ヴィヴィアンさーーーんッッッ
この間、既読つかず。
終電近くになるなら荷物は自宅に持ち帰っても良かったのですが、ヴィヴィアンくんが既読をつけなかった為、とりあえず会社に向かいました。
23:30
時間帯的に確実に終電を逃すのですが、もう構わない。
会社に着いてエレベーターをのぼると、廊下の電気は落ちていて、フロアに人の気配はありませんでした。
まず一番可能性の高い喫煙室をのぞき、その次に相手の席まで行ったのですが鉢合わせせず。帰ったか…と疑い始めたところで、私の席で突っ伏する男性を発見。
いた。
ラギ「ヴィヴィアンさん。お疲れさまです」
声を掛けたけど起きない。机を指先でコンコン鳴らしたのですが、それでも起きない。眠りが深すぎる。初めてマスク取ってるところ見たんですけど、寝顔が白雪姫みたいでびっくりした。
肌がきれいだと化粧も楽しいよね。
肌のシミを隠す化粧じゃなくて、トーンアップで魅力を足していく化粧をしていた頃、私も楽しかった。
ラギ「お待たせしてすみません~。起きてください~!」
コンコンコンコン強めに机を叩くと、ようやく目覚めたヴィヴィアンくん。明らかに不機嫌。
ヴィヴィアンくん「いま何時ですか」
ラギ「24時です」
ヴィヴィアンくん「お腹空いた」
ラギ「奢ります…」
私はコンビニで何か買ってデスクで話す程度を予想してましたが、ヴィヴィアンくんが「お酒入れません?」と提案してきたので居酒屋になりました。
つづく
,+
うちの会社、
超絶イケメンが2人いたんです
ひとりは化粧男子くん。令和に現れたジェンダーレス男子ですね。
カラコンが映えるぱっちり二重で、かっこいいのに可愛い。ぴえん女子が好きそうなメン地下顔でした。
急に流行った地雷系の服わかります?
鎖!クマ!首輪!黒ネイル!
あれをすべて装着してた。
若いね~。
私の時代でいうV系に当たるんだろうか。
ヴィヴィアンのネックレスが印象的でした。
もうひとりは…
圧倒的美形!って感じの男性。
(芸能人を除いて)圧倒される風貌のイケメンを人生で2人ほど見たことがあるんですけど、記録塗り替えてきたわ…と感じるほどでした。
外見でこの人にマウントを取れる男っているのだろうか。
ピアスと刺青がバチバチに入ってる180cm近いド派手な陽キャでした。且つトークも面白い。どんな相手でも盛り上げる。もはや勝手に面白い。
モデル目指せば? と人に言われてました。
本人は興味無さそうだったけど。
この2人が並ぶと
他の男が霞む霞む。
高身長は並ぶと映えるね。
黒髪のサラサラヘアーと茶髪のハーフアップ。同じ系統じゃない2人だからこその華がある。
あの2人だけはフロアのどこにいても目に入りました。
美形くんが化粧男子くんの首根っこを掴んで煙草を横取りしたり、椅子に座る美形くんに化粧男子くんが「煙草いきません?」ってほっぺ突いたり。
じゃれてるだけで絵になる。
オーラってそういう事なんだと思う。
なにをしててもキラキラしてた。
本当に、私が入り込まなきゃよかった。
上司「〇〇さん、辞めたらしいですよ」
私「コンテ撮前提のスケジュールで演出がキレた班の?」
上司「お手伝いに行かれては?」
私「えー…まぁいいですけど。後任は?」
上司「デスクです。〇〇さん昨日急に飛んだので」
私「バイトかな??」
社会にでて久しぶりに
「飛んだ」って単語を聞いた
上司とはちょいちょい雑談してました。
本来は上司の班に属した時点で彼に指示を仰ぐべきですが、私が鳥羽さんに相談するので教えることがないらしい。ときどき進捗や手持ちを聞いてくるくらい。
班が動いたの私が入社して3ヶ月後だしね。
上司「そろそろ夏入社の子達が辞表を書く頃かと思い、喫煙室では賭博が始まり…」
私「他に話題ないんですか?」
上司「池袋さんが佐久間くんをフッちゃったから話題に飢えてるんですよ。喫煙室は~」
私「喫煙組ってイケメン多いじゃないですか。あの高身長の…そっち深堀してくださいよ」
上司「え~?」
絶対ここルート分岐だった
過去を振り返るとわかることってありません?
いくつもの出来事が積み重なって人生が左右されるんじゃなく、たったひとつの出来事が大きな変化に繋がるという。
この上司とイケメン達がそこそこに仲良かったことが不運の始まりだったんだな。私のターニングポイント…。
上司「誰だろう。3人は浮かぶんですけど」
私「その人達です。いつも3人行動してる…」
上司「誰だか知りたいので3人連れてきていいですか?」
私「気まず過ぎる」
そこで落選した1人も嫌でしょ…。
というか3人まとめてイケメンって言えばよかった。いつも3人で固まって行動してるし。変に1人だけ除外するより、まとめて褒めたほうが本音が紛れたのに。
失言した、と思っていたらすっと覗き込んできた上司が周囲に聞こえないよう声を潜めました。
上司「俺の想像してるイケメンの1人が、池袋さんのこと『可愛い』って言ってましたよ」
私「…………、………えっ」
やばい、どもってしまった。
PCを弄りながら聞いてたので予想してなかった言葉に反応が遅れました。喜んでるっぽい間ができてしまった。
「連れてきますね☆」と立ち上がった上司の腕を全力で掴み座らせました。初動が早いんだわ。
私「連れてこなくていいです」
上司「どうして?」
私「普通に気まずいから」
私、あそこの集団と仲良くなりたくなかったんですよ。ただでさえ佐久間さんのせいで高飛車女として悪目立ちしたのに、今度は「イケメン狙い」とか噂されそうで。
そんな会話の直後でした。
通路で化粧男子くんに呼び止められました。
黒髪ストレートで、毛先がちょっとだけ紫っぽい。爪も黒く塗っていて美を追求してる感じ。顔が綺麗で背高く、インフルエンサーの副業とかやってそうな感じ。
胸元に光るヴィヴィアンのネックレスが印象的だったので『ヴィヴィアンくん』って書きますね。
ヴィヴィアンくん「池袋さん。作監さんが手空きになったのでLO回してもらって大丈夫です。スケジュールが押してしまってすみません」
私「はーい。ありがとうございます」
礼儀正しい~~~!
他の人は同じフロアにいてもチャットワーク飛ばして来るのに、わざわざ声かけてくれたのか。私の方が下っ端なのに…。
話が終わり立ち去ろうとしたヴィヴィアンくんは、ふと私の手元をみて首を傾げました。
ヴィヴィアンくん「廃棄ですか?」
私「はい。そちらの班も廃棄ありますか?」
ヴィヴィアンくん「少しだけ」
私「それも持っていきますよ」
うちの会社は再生利用できる廃棄物を1ヶ所に纏める部屋があって(情報漏洩のリスクが無ければ)だいたいそこに収納します。エレベーターで地下まで行くので少し遠い。
DやPなどの偉い人はだいたい下っ端に任せます。
つまり私です。
入社して間もない私が廃棄処理にいくのはわりと日常茶飯事だったんですけど、ヴィヴィアンくんは不審そうな顔で私をみました。
ヴィヴィアンくん「池袋さんだけで運ぶんですか?」
私「? そうですよ!」
台車に乗せるつもりなので。そう続けて言う前に、ヴィヴィアンくんがふっと息をこぼすように笑ったので口を閉ざしました。
あの表情はなんて表現すればいいんだろ。
ヴィヴィアンくん「…『大変ですね。手伝いますよ』」
なんかやけに台詞っぽい言い方でした。一瞬、絶対なにか含んだものがあったのに、それを悟らせないくらい綺麗に笑う。
ヴィヴィアンくん「それ貸して」
ヴィヴィアンくんは紙袋の片方をやや強引に奪うと、先に歩きだしてしまいました。
そこに通りかかった、にやけ顔の上司。
上司「ビビくん。池袋さんがキミのことイケメン♡って言ってましたよ」
私「ちょっと!!!!!!!!!!!」
通り魔なの?
怖い怖い怖い。
なんで人間関係ぶっ壊すようなことサラッとできるの? この男が秘密を守る利口な生き物じゃないことくらい知ってたけど、まさか私の目の前でやるとは。
無言で止まったヴィヴィアンくんの雰囲気が悪くなったのを察して、おずおずと声をかけました。
私「あの…」
ヴィヴィアンくん「佐久間さんには『噂話は嫌い』とか言った癖に、自分はそういう話をするんですか?」
えっ
さらっと強めの言葉が降ってきたので驚きました。上司なんて立ち止まって固まってましたよ。
上司「え。そんなに怒ることですか?」
ヴィヴィアンくん「俺、佐久間さん好きなんで」
上司「すみません、俺の言い方が悪かったかも」
ヴィヴィアンくん「嘘じゃないんですよね?」
上司「嘘ではないですけど…」
ヴィヴィアンくん「なら俺も訂正しません」
ヴィヴィアンくんって動作の緩急に圧があって、人から人に視線を移すときの間が怖い。睨むって言葉がピッタリくるような目力で。
ヴィヴィアンくん「裏で人の話するのやめてくれませんか? そういうの気持ち悪いし、不愉快です」
完全なるブーメラン
私が佐久間さんに対して言い放った言葉と同じものが刺さりました。必要以上に責められることはなく、あの場限りの一言だけでしたが、逆にそれが効く。
本当に何も言い返せないまま一緒に廃棄に向かったのですが、以降は普通に会話してくれました。逆につらかった…
久しぶりに恥ずかしい思いをした日でした。
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上司→班長みたいな立場の人
眼鏡先輩→私の班の先輩。設定制作
佐久間さん→外部の演出家
鳥羽さん→映画班の人。正面の席。
佐久間さん:今日、会社行きます
9月下旬。2週間ほどコロナで隔離されていた佐久間さんから久しぶりにLINEが届きました。
そしてシカトしました。
構 っ て る 暇 が な い 。
佐久間さんのコロナ騒動で演出&作監&総作監を担当することになり、ほぼ映画のCパート担当として動いてました。他班なのに。
しかも自班のLO回収も始まり、入社1ヶ月にして兼業制作です。ここが地獄の一丁目…。
本来の予定では、眼鏡先輩(メイン制作)と私(制作補佐)で話数を回して様子を見るはずが
眼鏡先輩「映画のパート回せるなら自班の話数くらい余裕で回せるでしょ^^」
とPに進言した為、ガチ一人っ子制作です。薄々気づいてたけど、眼鏡先輩って後輩を育てるの億劫なんだろうな。
上司「今日、佐久間くんくるらしいですよ!」
私「そんなことより13時~14時で作打ちがあるのに会議室が埋まってます!」
上司「事前に取らないからですよ」
私「作打ち決まったの今日の11時なんです!」
私と作家の電話↓
作家『本日の13時でしたら作打ち可能です』
私『すみません今日は予定が…(外回り)』
作家『でしたら次に空いているのは11月末です』
ふざけんなよ
カット数8でLO〆が11月なのに希望日が11月末ってどういう神経してんのよ。ぜったいこの人は原画まで担当しない。第2原画は海外だからLOがラフで上がってきたらどうしよう。そういう人いるんだよなあ。
とは言えず
私『では本日13時お願いします♡』
こちらが折れるしかないんです。
なぜって作家は神だから。
奴隷だな。この仕事は。
上司「しょうがないですね~」
ふらっとどこかに消えた上司は、2分くらいでふらっと戻ってきて『13時、A会議室なら使っていいですよ~』と言いました。
私「えっ良いんですか?」
上司「だいたい皆、打ち合わせ時間の前後30分くらいバッファを持たせて予約するんです。部屋が空いてないときは会議室を直接見に行くといいですよ」
私「ぐ…ありがとうございます」
上司「なんで苦い顔してるんですか笑」
私「上司に教わるのは抵抗があるというか…」
上司「俺、池袋さんの直属ですよ?」
わかってるけども。
話ながら会議室の予約枠に埋め込みしてくれる上司。この人、癇に障るけど仕事できるんだよなぁ…
鳥羽さんなら素直に慕えるのに。
なんだろうこの差は。
上司「それで本題なんですけど!佐久間くんが会社にくるらしいですよ!池袋さんに会いに!」
私「仕事でくるんでしょう」
上司「いや本人が言ってました」
私「私もう佐久間さんの担当じゃないですし」
上司「担当だから連絡取ってたんですか?」
私「そうですよ?」
考えたんですけど、佐久間さんってキャバクラの客でもないし利益をもたらす人でもないし、私が時間を割く必要ないんですよ。
それなら私は、私がどうしたいかが一番大事。
上司「らしいですよ佐久間くん」
佐久間さん「そうなんですか?」
私「うわぁ!!!??」
突然背後からぬっ…と現れた佐久間さんに驚いて悲鳴をあげました。反射で上司のほうに体を傾ければ慣れた手つきで肩を抱かれたので秒で叩き落しました。
私「え怖っ。いつから居たんですか?」
佐久間さん「池袋さんが俺の悪口を始めた辺りで…」
私「言ってませんけど!?」
担当と制作以上の関係じゃなかったでしょう。実際。
佐久間さんはむっとして私を睨みました。
佐久間さん「俺は池袋さんに好きって言いました」
やめろおおぉぉぉ
皆聞いてる!
営業も人事も制作も聞いてるから!
奥の席とかPもDもいるから!
不自然なくらい周囲から雑談が消えたから!!
私「ま……………って佐久間さん。場所変えましょう」
上司「面白いのでここでやってください」
私「職場ですよここ!」
なんで私が上司を叱るんだよ!
席を立つと上司と眼鏡先輩もニヤニヤしながら立ち上がったので「お昼休憩いってきます!」と怒りながら制しました。
本当に信じられないこの職場。
佐久間さんは神妙な顔つきで「お蕎麦の気分です」と言い出したので、私が通っていた店に連れて行きました。
佐久間さん「鳥羽くん"も"きたことありますか?」
私「鳥羽さん?知りませんよ」
佐久間さん「鳥羽さん"と"きたことは…」
私「無いです」
佐久間さん「俺がラギたゃの初めての男ですね!」
急にエンジンかかったな。
どういうテンションでこようと構わないけど。
私「佐久間さん。さっきのアレは困ります」
佐久間さん「ごめんなさい」
私「佐久間さんの妄想癖は構わないんですけど、冗談に収まる範囲でお願いします。本当に痴話喧嘩してると思われるのは迷惑です」
佐久間さん「妄想じゃないです。ちゃんと好きです」
私「ならすみません。お付き合いは無理です」
好きになれる気がしない。
人の気持ちを汲めないところや、感情に任せてTPOを弁えないところ。冗談の度合い。往々にして幼いしやっぱり顔がタイプじゃない。
佐久間さん「ラギたゃ…池袋さんは、鳥羽くんのことどう思ってますか?」
私「正直イケメンだと思ってます」
佐久間さん「LINE交換しないでって言ったのに!」
私「え!なんで知ってるんですか!」
佐久間さん「俺のラギたゃが汚されたあああ!!」
悔しがるように俯く佐久間さん。
注文した蕎麦にぜんぜん手をつけなかったので、横から一口もらったらめちゃめちゃ美味しかったです。
今度きたらこれ注文しよう。
佐久間さん「ア――――!!『一口ちょうだい♡』ってしてくるクラスカーストギャルの行動やめてください!」
私「現実見てください。グミとかポッキーとかじゃなく蕎麦ですよこれ。可愛い要素なんもないです」
佐久間さん「好きな子がやると何でも可愛いんですよ!」
さらっと言ったけど
今のはきゅんとした
「好きな子」って…フレーズ可愛すぎない?
27歳ちょっと可愛すぎでは?
話は色々と脱線しましたが最終的に佐久間さんは「まぁ鳥羽くんって仕事できるし、普通に良い人ですもんね」とまとめて、お昼を奢ってくれました。
振られ慣れている。
その後もちょいちょい連絡は来ましたが、お互いに返したり返さなかったりしながら、2023年の現在でもやり取りは続いています。
ちなみにまだ童〇らしいです。(自己申告)
旦那候補1【佐久間さん】
A,違います
,+
ラギ:夏に東京来るって言ってなかった!?
もちゃ:ノーマネーノーライフ
ラギ:こいよ!!
もちゃ:日本の四季は春秋冬冬で構成されてます
ラギ:隠蔽された夏…
もちゃ:夏など存在しない(38度)
ラギ:東京40度やで(秋)
2020年9月
9月は夏です。30度を下回らない日はすべて夏。行き交う人々は半袖。冷房の設定は24度。夏ですこれは。
そして不穏な一通のLINE。
佐久間:ラギたゃぁ。。
私:おはようございます
佐久間:コロナかかったぁ…
私:えっっっっっ!!!!!!!!!
私が就職した2020年は緊急事態宣言があったり濃厚接触者が出社禁止になったりと、コロナに対して国が試行錯誤していた時期でした。そして佐久間さんは会社初のコロナ感染者。
私「鳥羽さん何時に出社されるかわかりますか!?」
鳥羽班の人「え…ごめん把握してない」
現段階の会社対応→2週間の出社禁止
やばい
これ以上納期が遅れると放送できない。
代役立てないと…!
佐久間さんの1日のノルマは私が把握・確認をしてます。でも演出の変更は私が判断できる問題じゃないので鳥羽さんに指示を仰がないと……いけないのに!電話番号が繋がらない!
会社の電話から何度も鳴らしてるのに!
なぜ取らない!
チャットワークにメッセージも残しましたが、PCメールは基本的に出社後に確認するものなので、出社前の人に送っても意味がない。詰んだ…。
結局その日、鳥羽さんが出社したのは18時を回った頃でした。遅いよ!
私「鳥羽さんんんんんん~~~~~!!!!」
鳥羽さん「え?うわっ、なになに!」
ほぼ掴みかかる勢いで突進すると、鳥羽さんは私の両肩に手を置いて「どうしたの?」と顔を覗き込みました。
私「昼から何度も電話したのに!」
鳥羽さん「池袋さんからの電話だったの?俺も会社に折り返したけど、別の人が出て『誰が掛けたかわからない』って言われて…」
私「うちの会社、報連相死んでません!?」
誰が電話かけたのか聞いて回れよ!
フロア広いったって5分も掛からないだろ!
私「佐久間さんがコロナ陽性です~…」
鳥羽さん「うそでしょ!?」
私「40度近いそうで仕事もできません…」
鳥羽さん「こんな時期にぃ…?」
それはそう。
鳥羽さんは脱力したように数秒ほど顔を覆って、それからすぐに他班に演出の手空きがいないか確認を回しました。
鳥羽さん「佐久間さんの空きを埋めることは可能だけど、分配はPに相談だね。映画だから全体に影響出るし」
私「担当は私が引き継ぎますか?」
鳥羽さん「正確に把握してるのが池袋さんだから引き継いでほしいけど、虫食いに演出さんを嵌め込んでくから担当人数が増えちゃうかも…」
鳥羽さんが危惧してるのは、私の本来のタイトルです。
鳥羽班はあくまで『お手伝い』なので。
私「10月までは手伝いに回れますが、11月から自分の班も稼働するので、映画は降りることになると思います」
鳥羽さん「いや降りれないよ…。うちは圧倒的に制作不足だから、後半の進行を池袋さんに任せちゃうと、オールラッシュも引き継がせることになる。Pも新タイトルと同時進行させろって言うと思う…」
私「つまり鳥羽さんと同じルートですね」
鳥羽さん「回避させてあげたいぃぃ」
鳥羽さんの過去の苦悩が見える…。
鳥羽さんも制作が抜けてくたび代理で穴埋めをして、いつの間にか『鳥羽の担当』みたいになったって言ってたから。人手不足は恐ろしい。
私「どうしようもないですし頑張りますよ」
鳥羽さん「この会社はできる人ほど潰されるんだ…」
私「給料と見合わなくなったら辞めます」
鳥羽さん「俺が池袋さんに仕事を振ったばかりに。…てか、そしたら池袋さんの班のPにも事情説明しに行かなきゃ…」
私「うちのP、マジで会社に来ませんよ。私この会社に入社してから一度しか会ったこと無いですもん」
鳥羽さん「Pはツチノコだから」
Pはツチノコ…
鳥羽さん「あとうちのPも、電話もメールも出てくれない人だから人事部から電話かけてもらおう」
なにその奥の手!
人事部の人も巻き込んでいいの!?
制作の問題に!?
私「私もそれ事前に知ってたら、会社から電話かけなかったのに~!次は人事から電話かけますからね!」
鳥羽さん「LINEやってないの?いつの時代の人?笑」
私「やってますよ!!!」
そういう訳で、鳥羽さんとLINE交換しました。流れで交換しちゃったけど、そういえば佐久間さんがなんか条件つけてたな。
まぁいいか。
あの人私の担当から外れるし。
,+
佐久間:今日は7カット提出します
私:すごーい
佐久間:(昼飯写真)
私:(スタンプ)
佐久間:池袋さんの手作り弁当たべたいです
私:料理は苦手です
佐久間:俺が作るから結婚しよ♡
私:(スタンプ)
佐久間さんとのLINEは気楽でした。中身が無いし、スタンプにスタンプで返してくることも多いし。細々と続いてる感じ。
上司「佐久間くんとは順調ですか?」
私「交際してるみたいに言わないでくださいよ!」
上司「そろそろデートとか」
私「無理でーす」
佐久間さんは飲み会以降、私に対する変な妄想を語ることはやめました。言ったことは守るタイプらしい。
しかも雑談ついでに進捗状況を伝えてくる。鳥羽さんに伝えてくれと何度も言いましたが聞かなかったので、いつの間にか私が佐久間さんの進行表を担当することになりました。
私の場合、本来マンツ―マンでサポートしてくれる先輩(眼鏡先輩)が役職持ちで私に構う暇がないため、ほぼ鳥羽さんに仕事を貰っていました。
私「〇〇さんの担当ってc255~c270までですよね?」
鳥羽さん「そうだよ」
私「いま〇〇さんの単価総額を書いてるんですけど、c240_c255が連番なのに〇〇さんの会計にc255の料金も含まれてて…」
鳥羽さん「俺のミスぅ~~!!」
鳥羽さんは話が早い。
仕事も早い。理解力もすごい。
ポカミスも多い。
鳥羽さん「プリンターで写真を現像してほしい」
私「わかりました。システム課に行って使い方を教えてもらうので、20分ほど時間がかかってもいいですか?」
鳥羽さん「自分でやってこそ学びだよ!」
私「えぇ…」
鳥羽さん「いってらっしゃい!」
30分経過
私「鳥羽さん!何度やったけど分からなかったのでシステム課の人に聞いたら、このプリンター、写真の現像機能ないって言われました!!」
鳥羽さん「俺の理想が高すぎたせいでごめん」
私は担当1人(佐久間さん)です。
一方の鳥羽さんは60人近くの担当を抱えているため毎日が大変そうでした。
土曜日。
外注のシステムと営業はお休みです。なので私と鳥羽さん以外、周囲にはほとんど誰も居ない状態でした。
鳥羽さん「会社のPCメールもう作った?」
私「まだです」
鳥羽さん「やり方教えるね。こっち側に回ってこれる?」
私「はい」
鳥羽さんは私の席の正面です。なのでコの字型の座席をぐるっと回り込んで、久しぶりに鳥羽さんと対面しました。
鳥羽さん「俺らの席、最近荷物の受け渡しに使われるよね」
私「市役所の受付窓口みたいになってますよね」
つまり顔を見たくないんです。
この会社で正面の席がお互いに丸見え状態なのって、私と鳥羽さんだけだったんじゃないかな。
私「今日って鳥羽さんの班だれもいないんですか?」
鳥羽さん「うん。在宅でいいよって言った」
私「え。制作に指示出してるのって鳥羽さんなんです?鳥羽さんって入社何年目でしたっけ?」
鳥羽さん「入社して1年だよ」
私「1年!!?」
なんでもタイトルがスタートした頃の上司たちは皆心を病んで退職していったそうです。
なので生き残りの鳥羽さんがチームリーダーになってるのですが、転職1年目の鳥羽さんには荷が重すぎるのではないだろうか…。
私「私も1年で鳥羽さんと同じ量の仕事が捌けるようになるんでしょうか…」
鳥羽さん「池袋さんは要領が良いから大丈夫だよ」
私「席替えがあるって聞きました」
鳥羽さん「え?そうなの?」
私「私のチームに人が集まり始めたので、そろそろタイトルで席を固めるって。鳥羽さんと席離れちゃいますね」
鳥羽さんはちらっと私を見ました。
普段は正面にいるから横顔って変な感じ。
鳥羽さん「うちの会社の人、地下アイドルとか好きだから池袋さんにも優しいと思う」
私「地下アイドル…」
鳥羽さん「男は可愛い子に弱いから」
私「鳥羽さん私を可愛いって思ってます!?」
鳥羽さん「俺のことは置いといて笑」
鳥羽さんって私のこと可愛いと思ってたんだ…。ちなみに私も鳥羽さんのことを好意的に感じていました。
面倒見がよく人に対して丁寧で、語尾が柔らかい。褒めて伸ばす人だから、こういう人が上司だと部下も仕事にやりがいを感じそう。
ちょっと抜けてるけど。
鳥羽さん「会社のPCメールは【名前の頭文字-名字】で作るんだけど、池袋さん下の名前は…」
この人の匂い好きがすき。
鳥羽さん「『ラギ』?」
ずっとデスク越しに話してたから気づかなかったけど、近くでみると鳥羽さんって目元が綺麗。いくつなんだろう。
鳥羽さん「綺麗な名前だね」
私「鳥羽さんなら名前で呼んでいいですよ!」
鳥羽さん「池袋さんって百戦錬磨って感じがする」
私「佐久間さんのせいで嫌な印象がついてる」
鳥羽さん「佐久間さんのせいじゃないよ」
夏に入社して、秋になる頃の話でした。
,+
ヤカラが好きです
悪事については経験済みでも未経験でも構わないんですけど、できれば未成年のうちに遊び終えて成人後は常識の範囲内で遊んでたら素敵です。
ゲームをたくさん知ってるしセックスもうまい。
動物みたいにぶらぶら歩く姿が自由で可愛い。
一緒に飲むと楽しい。
そんな私の推し輩tuberことふぉ〇君が「未成年とセックスしても面白くない。シンプルに経験値ないし」と発言されていて衝撃でした。自分は拙さに魅力を感じるロリコンタイプだったので。
上級者は上級者と戦いたいんですね!
私はなんて未熟なんだろう。
強きものと弱きものの違いを見せつけられた気分です。
佐久間さん「初めまして、佐久間です。今日は来てくれてありがとうございます」
私「初めまして。私に言うことありません?」
佐久間さん「マスクを下げてもらえますか?」
類友め
貉か??
女に幻想ばっかり抱きやがって!
カクテルなんて可愛い飲み物は頼まないからな!度数高い酒目の前で飲んでやる!
私「あの、私が会社で『佐久間さんの彼女』って呼ばれてるのご存知ですか?」
佐久間さん「え?俺たちは入籍して3ヶ月ですよ」
私「心に闇飼ってますこの人???」
上司「いつもこうですよ?」
会話が通じない人と出会うたび、バイトのスロバキア人を思い出すんですよね。(ゴミ捨てを頼んだら「人種差別だ!」と騒がれたので「おまえの国ゴミ無いの?」と言ったらその日に辞めた)
正面に座る佐久間さんという男は妙にボヤっ…とした印象の人でした。標準的な男性にうすぅ~くモザイクを入れて細目で眺めたような。
特徴らしい特徴がないのが特徴というか。
服装も、個性的でも定番でも上質でもなく…。
髪も、セットしてる様子もなく…。
顔も、………。
なんだろう。
なんか文字に起こしずらい人だな。
私「佐久間さんって私と付き合いたいんですか?」
佐久間さん「付き合ってますよ」
私「いや真剣に」
佐久間さん「付き合いたいです」
上司「前のめりwww」
私「ええ…私の事なにも知らないのに?」
佐久間さん「俺のことも知らないじゃないですか」
私「なら教えてくださいよ」
容姿に特徴がないから陽炎みたいにユラユラするのであって、このままだと帰宅後には顔すら忘れる気がする。
佐久間さんは少し考え込んでから「俺は凄いですよ」と自信を滲ませた表情で語り始めました。
佐久間さん「最初は××会社に1年ほど勤めてから独立してフリーの演出になりました。いま放送してる▲▲と〇〇は俺が手がけてます。池袋さんの2つ下の27歳です!」
私「まてまて。私はどこにも自分の年齢を公開してないんですけど」
佐久間さん「非公開だったので調べました!」
私「ドラマのあらすじじゃないんですから、勝手に検索してしないでください」
佐久間さん「大丈夫ですよ。池袋さん可愛いから」
そういう問題じゃない
これって一般的に嬉しいの?
27歳過ぎた辺りから周囲が『実年齢より若く見えること』を褒めるようになったのですが、年齢と見た目の不一致を褒められるってどうなの?
私と接するとき、態度や言葉遣いの目安にするから年齢を知りたいなら分かるけど、見た目の評価で使われるなら言いたくない。
上司「池袋さんって年齢言うの嫌がりますよね」
私「そもそも人にイジられる事が嫌いです」
上司「馬鹿にしてるワケじゃないですし」
私「公正世界仮説ですか?当事者が『不愉快だ』って明言してるのに、周囲が『その考えは違う』って否定すること自体おかしいですよ」
上司「柔軟性の問題ですよ~」
私「帰りまーす!」
『可愛いから仕方ない』なんて状況は存在しない。
まったく知らない他人に一方的にネタにされてとんでもなく不愉快なのに、『受け入れられないほうが悪い』って流れを他人が作り出すのは違うでしょう。
被害者の中に加害される原因を見出すのは思考力が足りない証拠でーす。
好意に関するこういう一面が死ぬほど嫌いだし、そもそも私が得をしない好意は害です。
上司「え。本当に帰るんですか?」
私「帰りまーす。もう話す気失せましたー」
上司「やばwww」
佐久間さん「すみませんでした!!!!」
佐久間さんが急に大声をあげたので一瞬、怒鳴られたかと思って怯みました。
酔ったのか?
佐久間さん「本当にすみません。軽率でした。嫌われたくて言ってたんじゃなくて、本当に可愛いと思って周囲に話しまくってたら、いつの間にかネタみたいになっちゃって。今日来てもらえて本当に嬉しかったんです。まだお話したいです…」
急にしゅん…っとした態度を見せる佐久間さん。
そういえばこの人、年下だっけ。
2個下…2個下かぁ~。
年齢に関する先入観を嫌がった癖にとか思われそうですが、それはそれ。これはこれ。
私「私も責め立てる言い方をしてすみません。でも嫌なので改善してください」
佐久間さん「はい!!!!」
ここで上司がつまらなそうに酒を煽りました。
上司「そんな怒るような事です?その年齢でちやほやされて、女性なら優越感に浸るところだと思いますけど」
私「立場があるなら発言に気をつけてください」
上司「世の中の常識に疎くてすみません。実力だけで今の地位まで伸し上がっちゃったので~」
貴族の謝罪か?
発言の隅から隅まで失礼なんですけど。
この世には泣き寝入りしない人間もいるからな?
上司「そういえば佐久間くん、鳥羽くんが連絡返せって怒ってたよ」
佐久間さん「あー…」
私「私も鳥羽さんにお世話になってるので、色々あるとは思うんですけど連絡はちゃんと返してあげてください」
佐久間さん「池袋さんって鳥羽くんとLINEしてる?」
え? なんだ急に…
私「してません」
佐久間さん「連絡何で取ってるの?」
私「チャットワークです」
佐久間さん「おっけー!わかりました!」
晴れやかに笑った佐久間さんはテーブルに投げ出された私のスマホを指さしました。
佐久間さん「俺と連絡先を交換してくれること、鳥羽くんと連絡先を交換しないこと、この2つで手を打ちます」
私「え。それは面倒でs」
上司「いいでしょう!」
佐久間さん「やった~!」
突然の横レス
爛々とした上司が「池袋さんの連絡先は俺から佐久間さんに教えときます!」と言い、解散した直後、本当に連絡がきました。
私以上にマイペースだな…。
LINEなんてナンパでも気軽に教えるくらいガバガバなので別に構わないのですが、会社の人は簡単にブロックできないので思う所はあります。
でも佐久間さんは思ってたより素直な人だったのでまぁいいかと思いました。
この一件で後々揉めます。
,+
若い女は需要が高い。
『学歴』『美人』『可愛い』『若い』の4枚のカードがあったら、男性市場では『若い』のカードが一番強い。
29歳は微妙ですよね。
29歳の私が感じた苦痛は「若く見える」という壁でした。男性からすれば私は「偽装カード」なんです。
上司「初めまして。チーム長として配属されたました!みんなの統括なので頼ってください!」
私「よろしくお願いします」
上司「女の子ひとりでしんどいかもですが頑張りましょう!」
私「(女の子って…)」
上司「噂の池袋さんですね!佐久間くんの」
でたよ
噂の池袋さん。
ここ2週間、例の佐久間とかいう男のせいで私の知名度は爆上がりです。
素材の受け渡しや他班への挨拶では「あ、佐久間くんの」という反応をされます。
佐久間くんの、なに。
嫌だな、この反応。
私「私は『佐久間さんの』ではないです」
上司「そうですね。失礼しました。というか佐久間くんのこと知ってたんですね!」
私「噂で聞いてます色々」
上司「おっとこれは良くない方向のやつ」
私「そりゃそうでしょう」
広まってる噂はすべて佐久間さんの妄想の話です。
しかも、これだけ私を持ちネタにしてる佐久間さんは一度も会いに来てません。
上司「すみません池袋さん。少しマスクを下げてもらえますか?」
私「?はい」
上司「………。」
マスクを取ると上司は私の顔をじっと見つめて「マスク取るの躊躇わないんですね」と笑いました。
上司「噂で、池袋さんの年齢が30歳前後って聞いていたので『自己紹介カードの写真も加工じゃないか』って疑ってたんですよ。でも普通に可愛いですね!」
何だコイツ。
『冗談交じりなら何を言ってもいい』というスタンスの人、デリカシー死んでません?
私「上司さんも私と同い年くらいですよね?」
上司「俺は池袋さんの3つ上です」
私「歳のわりに常識無いですね」
上司「俺も若く見えるでしょ♡」
幼いの間違いでは?
私「点数つけるのでマスク取ってもらえます?」
上司「嫌です♡」
上司が私の隣の席に腰を下ろしたので、積もりに積もった苦情を伝えようと思い、作業の手を止めました。
一瞬だけ怯む上司。
私「上司は佐久間さんと仲が良いんですか?」
上司「喫煙仲間です」
でた喫煙室!!
口ぶり的に、この人も噂の一端だな!?
仕事に集中したくて黙認してましたが、佐久間とかいう男は他人をネタにし過ぎでしょ。勝手に人のプライベートを詮索して喜ぶって未成年の行動ですよ。
私「佐久間さんっていつ会社にくるんですか。本人に言いたいことが沢っっっ山…あるので、仕事終わりに話せると嬉しいのですが」
上司「えっ!会ってくれるんですか!?」
突然の食いつきに驚きましたが、2週間近く「佐久間くんの池袋さん」と呼ばれ続けて、私もいよいよ苛立ちがピークでした。
私「現実の女は地下アイドルみたいに優しくないってことをしっかり説明します」
上司「うわっ、めっちゃ面白そう。池袋さんの会計持つんで、3人で飲みに行きません?」
私「良いですよ」
上司「わーい、日取り調整します!」
掴みどころがないというか、飄々としてるというか。
上司は威厳や立場を気にしない人でした。
良く言えばフレンドリー、悪く言えばメリハリがない。
あと行動が早い。
しばらくスマホを操作した上司は、にぱぁ~っと効果音がつきそうなくらい明るく笑いました。
上司「さっそく今日の18:00に約束を取りつけました!場所も確保してあります!池袋さんは今日は17:00上がりでOKです!化粧直しとか色々どうぞ!」
上司の権力を使うな
12時に出社した私を17時あがらすな。
私「私の日報みましたか?夕方は素材の回収に行きますし、スキャンも刷り出しも溜まってるので帰れません」
上司「なんでもっと早く出勤しないんです?」
私「私いま他班から仕事を貰ってるんですけど、12時前に出勤すると誰も出社してないんですよ」
どうなってるんだこの職場は。
上司「他班の仕事なら返しちゃっていいですよ。うちの班の仕事じゃないですし。池袋さんはお手伝いなんですから。捌けない量を押しつける方が悪いんです」
私「本来であれば捌ける量です」
上司「え~。でも予定は常に変動するものですよ。ねー、鳥羽くん?」
上司は私の椅子に手を置いて、デスクの奥を覗き込みました。
やめろ!
鳥羽さんは適切な仕事量をくれている!
真面目な鳥羽さんに軽薄なノリで絡むな!
上司「今日この子、佐久間くんとデートだから早めに仕事切り上げたいんだけど、いいよね?」
鳥羽さん「…はい」
私「他班に圧かけるのやめてください!」
上司「進捗確認と催促しとくよ?」
鳥羽さん「…………。」
風向きが変わったな
何だこの空気。
上司が意味の分からないことを言ったので黙って様子を伺うと、鳥羽さんが物凄く苦そうな顔で私をみました。
鳥羽さん「ごめん池袋さん。今日もし佐久間さんに会えるなら会ってほしくて…」
私「え…」
鳥羽さん「俺にLINEに連絡返せって伝えてほしくて」
私「それは…どういう…」
鳥羽さん「佐久間さん、俺の班の演出なんだ…」
Cパートの演出か!!
音信不通の!あの!
2ヶ月滞納の原因になっている!
あいつか!…あいつか!?
えっ、仕事を放置して飲みに行く予定立ててるの!?
それは人としてどうなの!?
私「むしろ鳥羽さんも一緒にきますか?」
上司「鳥羽くん来たら逃げるよ。目の敵にされてるし」
私「そんな大袈裟な…」
上司「鳥羽くんの彼女、佐久間くんが狙ってた子だから」
それは初耳ですが
私が軽率に立ち入っていいエピソードじゃなさそうだったので傍観に回ったら、鳥羽さんは物凄い勢いで首を振りました。
鳥羽さん「違います!勘違いです、付き合ってませんって。前も言いましたけど、ただの同期です!」
上司「鳥羽くんはからかい甲斐があるなあ」
鳥羽さん「池袋さん本当に信じないでね!!」
私「はぁ…」
どっちでもいいよ
この会社、恋愛脳な人間多すぎ。
,+
容姿は才能か
才能は「発揮する場所を選べること」が前提ではないか、と私は思います。要するに
字がうまい=上手に書ける、下手に書ける
足が速い=速く走れる、遅く走れる
しかし美人・イケメンは不細工にはなれません。
美しさを隠すことができないのです。
自分でコントロールできない先天的な体質を当人が「不利」と感じれば、それはハンディキャップです。
つまり何が言いたいかというと、容姿で人に好かれることは必ずしも「良いことである」とは限らないのです。
眼鏡先輩「喫煙室、池袋さんの話題で持ちきりだよ^^」
私「え?」
≪入社1週間、私が会話した人≫
1人目 人事の女性
2人目 眼鏡先輩
3人目 前席の人(鳥羽さん)
以上。
え??
喫煙室という限られた場所で、中途採用の人の話で盛り上がるって何?私は中学校の転校生枠か?
私「どういう話です?」
眼鏡先輩「んー。なんか今、池袋さんのことを好きな人がいて」
私「はい???」
驚きすぎて前の席の鳥羽さんを見たらバッチリ目が合いました。そして気まずげに逸らされる視線。意味もなく席を立つ鳥羽さん。
……。
………。
この人、先日の会話で私に惚れたの!?
あれだけで!?
女性の免疫ないの!?
眼鏡先輩「佐久間くんって人なんだけど」
だれ!!!!!
鳥羽さんじゃないの!?
どういうことなの!?
私「すみません。まだ社内の人を全員覚えきれていなくて、その、佐久間さんって他班の方ですか?」
眼鏡先輩「違うよ」
違うんかーい
眼鏡先輩「佐久間くんは外部の演出さん^^」
私「え。私その人と面識ありますか?」
眼鏡先輩「ないよ^^」
私「ですよね!!?」
よかったあああああ………
いや良くない。
眼鏡先輩はケラケラ笑いながら話すので、からかわれてるのかとも思いましたが、実名のある人物が出てきたので妙に気になります。しかも社外の人。さくま…?
眼鏡先輩「入社初日に自己紹介カード書いたでしょ?」
私「ああ…」
眼鏡先輩「あれ喫煙室の前の廊下に貼ってあるんだけど、池袋さんの写真を見た佐久間くんが『ラギたゃは俺の嫁♡』って言いだして^^ 笑」
私「ひぇ…」
眼鏡先輩「池袋さんの本名からインスタとフェイスブック探し出して、生年月日と男関係の探り入れてた」
まてまて佐久間
なんの躊躇いもない清々しさで話す眼鏡先輩にサイコパスみを感じつつ、佐久間とかいう面識もない男に悪寒を感じました。
ストーカーっぽいぞ佐久間…
眼鏡先輩「ごめんねぇ。彼、悪気も免疫も女性経験も無い27歳で…」
会ったこともない佐久間さんの年齢と童貞歴を不本意に知ってしまう池袋ラギ(29歳)
眼鏡先輩「アイドル追っかける感覚で身辺調査してるだけだから^^」
私「悪質過ぎません??」
キャバクラ経験があるのでこういう男性は慣れますが、昼職でストーカーまがいの事をされたのは初です。
私は別に何とも思わないけど、他の女性にやったらYahoo!ニュースに載るレベルでやばいぞ。
私「佐久間さんが私の情報を集めるなら、私も佐久間さんのこと調べますからね!って伝えておいてください」
眼鏡先輩「それ伝えたら興奮すると思う」
無敵かよ佐久間…
私は中途採用で同期の友達も居なかったので、このモヤモヤした気持ちを会社の人に話すことはできず、もちゃに電話して憂さ晴らしをしました。
佐久間さんの第一印象
【 こわいどうてい 】
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旦那との出会いを人に話したとき「少女漫画みたい~♡」と言われたことがきっかけで、いつかブログに書こうと胸に秘め、3年が経ちました。
そして迎えた妊娠期間!
何もかもを制限されて暇すぎる妊娠期間!
温存した記憶を解き放つときがきました!
登場する人物のどれかが旦那になる男なので、予想しながら読んで頂けると嬉しいです。
男は5人ほど出てきます。
そして1人ずつ消えます。
2020年8月。
29歳の私は思い立ちました。
コスプレを辞めよう
一般企業に就職しよう、と。
20代最後の時間を趣味に全振りできて私は幸せでした。今まで池袋ラギを応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完】
そして映像関係に就職
20代が終わっても人生は続くのです。
まさか自分が30代というステージに突入するなんて、若い頃の私は想像もしてませんでした。この頃はまだ29歳ですが。
業界用語がワード検索に引っかかると怖いので、仕事の内容はぼやぁ~~~っと書きます!
配属されたのは制作部です。
男女比は7:3。
デスク周辺はほぼ男性。配属先の先輩は身長が私と同じくらいの、小太り眼鏡さんでした。
眼鏡先輩「オレもプロデューサーもほぼ席に居ないから、わからない事があったら周辺の人に声かけてみて。仕事の流れは手伝いで覚えてね^^」
私「自班の手伝いは無いんですか?」
眼鏡先輩「うちの班、作品スケジュールできてないから仕事がないんだ。まぁ暇だったら漫画読んでて」
映像業界は
早めに正気を失うのがコツです
教わろうなんて思わないこと♡
しかも先輩もPもガチで毎日居なかった。
そんなことある?
出社初日に開始10分で放置されました。
とりあえずだれかに仕事をもらわねば…!
私「すみません。頂いた座席表なんですけど、誰がどの部署の人か把握したいので教えt」
通行人「ごめん。俺も知らない!」
そんなことある?
通行人はそそくさと消えました。
班によっては多忙なのか?
ならばと席を立ち、手伝える仕事がないか探し歩いたのですが、まず席順に統一性がない。
隣に声を掛ければ「ごめん僕営業なんだ」後ろを振り向けば「ここシステム部だよ」すれ違った人に聞けば「私は人事だから…」座席がゴッタゴタ。別部署の人間がバラバラに座っています。
考えた末、まず座席表と照らし合わせて、確実に座席・名前が一致しているだろう正面の席の人に声をかけました。
私「すみません、加藤さん!」
前席の人「……………………え、オレ?」
私「はじめまして、今日配属された池袋です。他班のお手伝いがしたいのですが、加藤さんの班でお手伝いできることありますか!?」
前の席の人「……………………。」
反応遅っ!
そんなに考え込むか?
制作のデスクには三段式のラックがあって、前席の人は正面が目隠しになるようカレンダーを吊るしていたので、手で押し退けて目を合わせました。
デスクとデスクは向き合ってるのに、ウォールマリアほど高いラックがあるため正面の人たちが誰も見えません。
やりづらい~!
私「あの…加藤さん」
前席の人「あ、はい。…いや」
私「?」
前席の人「オレの名前、鳥羽ですけど」
えっ!!
でも座席表に『加藤』って…。
前席の人「その座席表、昔のです」
そんなことある!?
あわてて名前を間違えたことを謝ると、前席の人は「池袋さんのせいじゃないよ」と笑いました。いや本当に私のせいじゃないけども。配席もバラバラで座席表も古いって初見殺し過ぎるよ。
鳥羽さん「この業界は急に辞める人多いから、空いた席に新人を放り込むことが多くて、だから同じ班でも席がバラバラなんだ」
私「あ、なるほど…」
鳥羽さん「ちょっとまってね」
鳥羽さんは新しい座席表を印刷すると、誰がどこの班なのかを色ペンで囲ってくれました。
みんなバタバタしていて誰も私に構ってくれなかったのに、なんて思いやりのある人なんだろう…!
鳥羽さん「営業とシステムは仕事内容が違うから、制作部の人に仕事もらうといいよ。各々が終わったタイミングで所属班が変わるから、これもすぐ使えなくなると思うけど…」
私「充分です。ありがとうございます。ちなみに鳥羽さんから見て、いまいちばん人手が足りてない班ってどちらですか?」
鳥羽さん「うちの班だね」
納期2ヶ月遅れだそうです。
この人が一番、私に構う暇ないのでは…?
鳥羽さん「仕事量がエグくて、今週も1人制作の子辞めちゃってね。特にCパートの演出さんがガチで連絡取れなくてやばい」
私「演出さん…」
鳥羽さん「制作の子が演出さん怒らせちゃって。その子は担当を降りたんだけど、演出さん的には会社に不信感を持っちゃって。演出と制作は相性があるからね。一度見切られたら永遠に連絡つかないよ」
私「そんなこと…あるんです…?」
鳥羽さん「ざらにある」
この日、私は最優先で鳥羽さんの班の仕事を手伝う決意をしました。
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祝★妊娠21週目
峠は越えた。
死ぬ思いでした。
子を宿し駆け抜けた日々が鮮明なうちに体験談を記します。まだ宿してますが。
自分は持病があるので特殊かもしれませんが、なるべく悪阻だけにスポットを当てて書きます!
人事を尽くして天命をまつと言いますが、手術歴のある私が「つわりと治療どちらがつらいか」と問われたら「つわり」と答えます。
2023年2月。
指名嬢の誕生日に遊び散らかした翌週でした。
朝、目が覚めた瞬間に「妊娠してる!」という謎の確信。妊娠検査薬を買ってきて試したら本当に妊娠してました。
当時まだ彼氏だった旦那に電話をして状況を伝え、そのまま産婦人科にいき、妊娠5週目であることが判明。
エコー写真に写る豆粒みたいな黒丸をみて「かわいいね!!かわいいね!!!」と騒ぐ彼氏。可愛いか…?
未婚状態からの妊娠発覚だったのですが、同棲が2年目である事も含め、即結婚が決まりました。
旦那「女の子かな?」
私「男の子だよ」
なぜか確信を持ち性別を判定する私。
Twitterにも自信満々に書いてました。
現在、妊娠21週目。
男の子であることがわかりました。
妊婦の勘って不思議。
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お久しぶりです
拍手のコメントを頂きまして、深海より数年ぶりに浮上致しました。
2015年に設定した拍手・コメント通知メール機能がいまだに機能していることに感動します。
この数年で様々なブログがサービス終了しましたね。相次ぐ大手ブログサービスの終了を前に、私が生きた青春時代の終わりを感じました。
ブログを始めた当初は、人間関係を継続させることが苦手で、移り変わりの激しい環境の覚書として、思い出の貯蔵庫のように使ってました。
むかーし塾の先生に「人間はいつか凪ぐ」と言われたことがあったのですが、あれは真理ですね。15の私は先生の語る人生論を理解できず笑いましたが、先生が居なくなった後、先生の言葉を何度思い出しただろう。
隙あらば私の生活圏内に入る先生の言葉は偉大です。忘れない限りずっと、言葉は生きてるのですね。
凪いだのだと感じます。
今の自分は。
話は変わりますが、かつての同僚から5年ぶりに電話がありまして「付き合ったつもりのない男に別れてって泣かれてしんどい」と相談され笑いました。
私も石原さとみが結婚したときは謎の頭痛と眩暈により三日三晩寝込み、私以外の人と結婚したさとみを恨みましたが、四日目にしてようやく「さとみと私は付き合っていないのでは…?」と気がつき立ち直りました。同僚に縋りつく(関係性不明な)男も、私と同じく事実確認から分析できると良い結果に繋がるのではないかと思います。
以下、拍手返信です!
お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。拍手からのコメントだったので送って頂いた文章を載せることを躊躇したのですが、あまりにも返信が遅くなってしまった為、どの言葉に対する返信なのか齟齬が生まれないよう記載させて頂きました。
何かありましたらパッと下げますので、遠慮なく教えて頂けると幸いです。
なーちゃん様
こんにちは。まつりさん、お元気にお過ごしでしょうか。 以前、なーちゃんと名乗っていたものです。 あまり言葉を交わしたことはなかったので、わたしのことはお忘れかもしれませんね。 もう何年も更新されていないブログに拍手コメントを残すのはいかがなものかと思ったのですが、ふとまつりさんのことを思い出してここに行き着きました。 あなたの紡ぐ言葉がとても綺麗で素敵で、pixivで池袋ラギさんに出会ってからずっとあなたのファンをしています。 わたしの懐古に付き合わせてしまい恐縮ですが、もう一度あなたと言葉を交わしてみたいです。 突然の長文乱文、失礼致しました。 どうか貴女様の人生に幸が多からんことを切に願っています。
お久しぶりです。
覚えてます!覚えてますよ…!
ラギから始まりまつりに移行してコス垢に転身した際も変わらずお付き合い頂いて、あの頃は本当にありがとうございました。私がなーちゃんさんにとって思い返してもらえる存在であることが嬉しいです。ブログを殺さず生かしておいて良かった…
なーちゃんさんはお元気ですか?
私が昔を思い返すのは、なにかの門出か現状に飽きたかの2パターンなのですが、なーちゃんさんはどんなときに思い出を振り返るのでしょうか。
繊細で多感な方だったと記憶しているので、優しく朗らかな方々に囲まれ、健やかに日々を過ごされていることを願います。
Twitterのアカウントも教えて頂きありがとうございます。
いま私が創作で活用できるアカウントを持っていなくて、PCからこっそりなーちゃんさんを覗きに行ったのですが「ク蘇」というお言葉をRTされているのを拝見して『あ、お元気そうだ』とにっこりしてしまいました。
現在妊娠中でグェグェ言いながら生きているのですが、お一人でもこのブログを思い出してくださる方がいるのなら更新もちゃんとしていこうと思いました。
こんな辺境の地にはるばるお越し頂き、また、コメントを残してくださり本当にありがとうございました!
OUL様
久しぶりにこちらを訪ねましたが、やはりあなたの書く文章が好きだな、と改めて思いました。 どうぞ、お元気で。 また忘れた頃に覗かせていただきます。
お久しぶりです。
この度は温かいお言葉をありがとうございます。小説や文章を書く機会が減って数年経ちましたが、いまでもこうして誰かに思い出してもらえる存在である事が有難いです。
何年経っても、誰かに声を掛けてもらえたら浮上する時間の概念を持たない生き物だと思って、また声をかけて頂けると嬉しいです。次にOUL様が遊びに来てくださる頃には、新しい更新ができているようにしますね!ありがとうございました。
,+
「君の名は」をみたよ
地上波最高!東京×田舎!?最高!すき!新海監督の緻密な風景描写すき!そして相変わらず言葉が少ない!すき!
「言葉なぞ人間の文明に過ぎない。心は画力で揺さぶる」という圧倒的な才能を惜しまず見せつけてくるところ本当に好き。
どうでもいいけど【君の名はをみた】って文字の並びが気持ち悪い。はを。きもちわるっ。ぼくらの、みたいに「、」をつけてほしかった。本当にどうでもいい話。
物語はキャラ名に意味があるケースが多く、今回に関してはタイトルが『君の名は』であるため街の名から登場人物に至るまで名を冠するものはすべて脳内メモ。
というか序盤に入れ替わり現象のネタバラシあったね。
「まゆごろうの大火で祭りの意味が分からなる」
→踊りは何かの示唆
「残ったのは形と伝統」
→一族で何かを受け継いでいる
「人と糸の間に感情が流れ出す」
→入れ替わり
序盤の伏線が40%ほど占めていたので後半忘れる忘れる。
巫女装束の姉妹が振るう鈴と頭飾りついてる『龍』と主人公の名前の『瀧』は繋がり…映画の言葉を借りるなら『結び』ですね。
彗星の落下でうまれた糸守湖。ヒロインに妹がいるのは珍しいので重要な鍵を握る役割があるかと期待しましたが特になし。
なんやねん!
と思いましたが今考えると「巫女2人が舞う=彗星が2つに分かれて落ちること」の示唆だった気がする。
巫女2人で舞うとき掲げた鈴が左右に流れる場面ありましたよね。宮守一族の伝統は「彗星が落下することを語り継ぐこと」なのでは?
これを考えると諸悪の根源ははまゆごろう。
考察はここまで!
以下感想↓
恋愛感情に気づく流れが唐突
急じゃなかった?
急に「おれ 三葉 好き」って発覚しなかった?
ぽにょかよ。
私が作者だったらヒロインが「来世は東京のイケメン男子にしてください」と願う場面を伏線にして「瀧はヒロインの来世だった=過去の自分を救う=世界が分岐して互いを忘れる」という流れで絡める。糸守湖がレテの泉。
そのまま輪廻に持っていって「私たちは誰か(前世)の続きである=結び」というオチにする。宗教アニメか。
駄目だわ。
やっぱ新海監督のオチで正しいね!
大正解!
転職活動してます
うきうきするね。新しいことの開拓って楽しい。
給料袋が薄くなりますが、私は同じ業界にしがみつくのはもう辞める。何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人はきっと、大事なものを捨てることができる人だ。ってアルミンが言ってた。(受け売り)
イエーガー☆
ノシ
人生を変えよう
※キャッチコピー風
聞いてほしい。行き詰ってます。
本来なら紫陽花が雨に打たれる頃には転職する予定だったのですが急な手術で出鼻挫かれました。
転職って勢いが大事じゃん。
いざ行かん!ってときに突然の体調不良。
どんだけ間が悪いの。
神様がもし「人生で必要なものを3つ揃えてあげる」と言ったら迷わず健康・友人・仕事をお願いします。できれば終身雇用!
先日、新しい仕事で一緒になった花丸(元カレ)とご飯する機会があったんですけど、目を疑うほど男に成長していました。
花丸「ラギさん彼氏できました?」
ラギ「最近は全然」
花丸「ははは。俺来月結婚するよ」
まじかよ!!
いやまあ彼は私と付き合ってた当初から結婚願望が強かったからまあそういうへえ…あそう…。
昔の男が結婚するって不思議。
花丸「あなたとの恋は人生で初めての挫折だったよ」
ラギ「脱童貞おめでとう」
花丸「ありがとう。すげえトラウマ」
わざわざ仕事の時間に過去の恋愛の話をする予定はなかったんですけど、花丸が、今後私とビジネスライクで接していく為に何かしらの区切りを欲しがっていたので付き合いました。
花丸「常に傾いてるものを支えてる気分でした。あなたは今日大切にしてるものを明日捨てれる人だから、保証が無かった。いつも怖かった」
ラギ「人が人の傍に居続ける保証なんてないよ」
花丸「だから付き合うんだよ。離れないように」
ラギ「離れたけどね」
花丸「身も蓋もないこと言わないで」
ああ、いい男になったね。
私と付き合ってた頃もそれなりにモテてはいたけど、外見だけの薄っぺらい魅力じゃなくて、人間的な深みが増した。視線や動作に色気と落ちつきを感じる。
従順な犬みたいに、私のすべてを肯定してた彼じゃない。
花丸「幸せになってよ。本当は好きな人がいるんでしょ。その人を諦めないなら、もう恋愛はしちゃだめだよ。他の人で補おうとしては駄目だよ」
会わなかった数年をたった数分で話して、すぐに仕事の話が始まりました。
先日、ちょりそーさんと「中高生の感覚に寄り添えない。『どうしよう』から踏み出せない人を慰められない」という話をしました。
そのときは「ライフステージが違う相手の悩みには寄り添えない」と返答したのですが、そもそも現段階の私のライフステージはどこだ?
私は別の業界で仕事をしたことがない。
「これでいっか」で仕事してる。
できるからやる。
花丸と話して、キャリアチェンジのタイミングを考えました。私はもともと純文学作家希望で、だけど好きな人が漫画家になったから編集者の道を目指しました。動機が不純なんですよね。
転職、どうしよう。
そもそも自分の為に頑張れるのか。
生理予定を管理するルナルナで生理開始日を登録する作業を怠るほど自己管理できない。自分の為に働くの億劫すぎるけど働かないと家賃が払えないし人権を維持できない。
皆さんはどういう仕事してますか。
どうしてその会社に決めましたか。
ここ二週間ほど悩んでます。
いまの仕事も嫌いじゃないんだけど…
年々、トレンドについていけない自分を思い知る。
我が業界で圧倒的愚痴率を誇るのは「ブロガーの書籍化」なんですけど、正直な話、純文学作家は高学歴が多いんです。だから編集者も博識じゃないといけないの。担当する文章の意味が理解できません、だと話にならないから。
でもブロガーの支持率理由って『運動ができて勉強ができないクラスの人気者Twitter』みたいなものなんです。ユーモアとカリスマ性だけ。根底になるものが「知識」じゃない。
そりゃ高学歴編集者おじさん達だって病むわ。
ちなみに私は癇に障らないです。
相手が10歳若かろうが人気なら儲かるし、「美しく正しい日本語」が人の心を揺さぶる時代は終わったと感じてます。大和言葉より流行語。時代は移ろう。月見酒で月を、花見で花を、見上げ続ける人が少ないように。
かくいう私も流行りを理解できないときがあって、先日は栞さんが推してる「東海オ〇エア」っていうyoutuberをみたんですけど、刺さるものが特になくて。
これも世代のひとつなのだと思いました。
人気を誇るものに同調できない。
辞めどきなんじゃないかと思う。
迷うなあ。
結婚を視野に入れない私は何をもって人生を支えよう。
ノシ
謹賀新年!!(※2月)
このネタは前もやったな。(2017年2月3日参照)
あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!手術成功しました!死んでません!拍手ありがとうございます!現在はインフルエンザです!近況を巻きで済ませてすみません!
こんな辺境の地にはるばる足を運んでくださる皆々様に感謝をしつつ、2016年の春から溜め込んでるコメントと拍手に返信してもいいですか…?(小声)
言い訳ですが、いつか返そういつか返そうと心に固い決意を秘めつつ目まぐるしい毎日にもまれ、春が過ぎ夏が終わり秋が巡り冬を超え…を3回やったら2019年でした。
光陰矢の如しですね!
これ完全に私が悪いんですけど日記&返信を分けてないため、お返事した範囲をド忘れしてる事もあり、もしかすると以前返信した内容に再度返信を重ねて最悪以前とは真逆の発言をする可能性が無きにしも非ずです。寛容な心で察してください。
(昔)ラギさん何色好き?「ピンク!」
(今)ラギさん何色好き?「色という概念に興味がない」
ヤバいやん…
拍手は送った内容を記録できないので内容をお忘れの方もいらっしゃるかと思います。
以下は薄文字にて、お確かめください。
【拍手より】
ひなさん(2018年9月29日20時17分)
ラギさん、はじめまして。私は「僕達は100回死んだ」でラギさんの物語に魅せられたものです:: ( › - ‹ ) ::久しぶりに読みたいなぁと思って検索かけるも見つからず消えていることを知り、ようやくたどり着いたこのサイト様でたくさんの事実をしって今とても困惑しています。現在はいかがお過ごしでしょうか?物語が読みたいという気持ちはもちろんですが、それ以上にラギさんがお元気かどうかがどうしても気になりコメントさせていただきました。またの更新をお待ちしています…!!
はじめまして。
この度はコメントをありがとうございます。懐かしいタイトルを読んで心が和みました。池袋ラギの小説を読んで頂き、本当にありがとうございました。未完で終わらせてしまったこと、および、突然pixivを退会致しました事につきまして、本当にすみません。
pixivで活動していた期間が2012年~2016年という長いのか短いのか判断しかねる期間でしたが、あの期間中、ひなさんの目に私の小説が留まったこと、探して頂けるほどに印象に残っていたこと、私の身を案じ言葉を掛けてもらえたこと、たくさんの事を嬉しく思います。
現在は手術を終え、最近ハマりましたコスプレ活動に勤しみつつ、体調を崩した結果のインフルエンザです。持病とは長い付き合いなので、騙しだまし付き合う方法も心得ており、転移した病のすべてを「飼い慣らした病気ども」として奴隷を並べる女王の如く上から目線で交際を続けております。私は元気です。ひなさんも体調等にはお気をつけください。ここも定期的に更新する予定なので、よかったらまた遊びにいらしてくれると嬉しいです。
(2018年9月29日20時17分)
はじめまして。pixivからラギさんを追いかけてこっそりとこちらのページをのぞいていた者です。ご病気の方に顔も知らない人間から何を伝えることができるのかと考えても、ラギさんのように上手く書くことはできそうもないです。ネットがなかった頃は(私は結構いいトシです)人の死というのは自分とは縁遠いもので、身内や知人、有名人の死しか自分の記憶には残りませんでした。顔も知らない人が書いた闘病日記が発行されて有名になってしまうほど、人間が最後に思う何かにみんなが興味があったということでしょうかね。あれっ、えー、何が言いたいのかというと、ラギさんにとっては迷惑で気持ちの良いことではないかもしれませんが、私にとってラギさんはもう勝手に知人のくくりに入っているので、刹那的に生き方が若者らしくていいなと思いはしますが、できれば長生きして、この先は四十肩で悩んだり、老眼鏡を気合いを入れて選んでほしいんです。そんなラギさんの生活をこれからも垣間見られれば私はうれしいです。私のわがままを押し付けることはできませんが、どうか、どうか……。ラギさんが笑っていられる日々がこれからもありますようにとだけ願わせてください。自愛ください。
はじめまして。この度は拍手からのコメントをありがとうございます。言葉の端々から感じる優しさやお心遣いに胸が熱くなりました。「老眼鏡を気合を入れて選んで」って表現すごく素敵ですね。ブログに書いてる事は赤裸々で、ここを読んでくださる方々には、私も深い親しみを覚えます。本当に恐れ多い事です。
私が触れてきた死の数はそのまま親しい人の命の数なので、昔から死に対する恐怖は薄かったように思います。
親しい存在が経験したことが安心感に変わるように、親が口に含んで飲み込んだものを子が安心して食べれるように、親しい人が死んだなら私も大丈夫という謎の安心感がありました。小さい頃は。
愛することを学び、愛される尊さを知り、少しずつ少しずつ生きることへ執着を増やして今に至ります。
「みんな人間が最後に思う何かに興味がある」って真理ですよね。私もそう思います。
人は人を想うのだと思います。
お金や仕事や己じゃなく、誰かを。
昔、自殺した恩師が私に宛てた手紙で「死を目前に残す言葉が見つからない空虚な人間にならなくてよかった。あなたがいてくれてよかった」と書かれていました。学生の頃は分からなかった言葉の意味が、10年経った今は分かるんです。
人生は一人一個で、その一個を使って誰かと出会うんだなって。心は人を介して育つのだと、育った心は新しい誰かの心を育てるのだと。だから最期に人を想うのかもしれません。
柔らかく思いやりのあるお言葉の数々、とても胸に響きました。
どうかまた遊びにいらしてください。
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ブログに解析機能を設置しておりまして、たとえ半年以上ブログを放置しても閲覧回数・訪問数をしっかり数える健気な機能なのですが、半年以上ブログを放置しても訪問してくれる1ヶ月平均70名は私と何の縁で結ばれた方でしょうか(震え声)
pixivを退会して2年。
創作をやめたTwitterで繋がっていた人数41人。
明らかに計算が合わない。
不思議なことは不思議なまま放置したほうが神秘性があるので言及しません。妖精さんかもしれない。妖精を信じる27歳とか字面がヤバすぎて年月を感じます。先月まで3歳だった気がするのですが気のせいでしょうか。気のせいですね。ネットって自由だから自分を3ちゃいと思い込めば3ちゃいになれる気がするんです。大志を抱いた大人の成れの果てですね。
冗談はさておき
こんな辺鄙な場所までお越し頂きありがとうございます。画面越しゆえ茶菓子ひとつ用意することは叶いませんがどうぞご自宅のようにお寛ぎください。つまらぬ文面で死ぬほど申し訳ない。死ぬと言えば私情で恐縮ですがこのたび持病の癌細胞が死ぬほど活発化して死ぬほど転移したので物理的に私も死ぬかもしれない状況に追い込まれました。繋げ方が雑ですね。
すみません、文章なんて久しく書いてないので自分のポテンシャルが思い出せなくて。そもそもポテンシャルなんて高等なもの私にあったか?
最近忘れっぽくて駄目ですね。
つい先日も自分が10月に手術を控える癌患者という事をうっかり忘れて11月の本丸併せに応募しました。一年後に生きてるかも定かではないという事実に関する圧倒的認識不足。
医者は死ぬことを据えて話さないのですが、いかんせん私は死骸を処理してくれる身寄りがないので死ぬ場合も想定して身辺整理やエンディングノートをシコシコする日々です。
私「死を目前に、携帯も財布も身分証も持たず、交通費だけをポケットに突っ込んでスナフキンみたいな風に身を任せた旅をしたい」
医者「身元の分からない死体を『行旅死亡人』っていうんですけど」
私「この話やめましょ」
孤独死さえ人に迷惑がかかる時代です。
あと問題は墓。
父が生まれた崎浜に散骨して三陸の海に還ることができたら、私の死後、私を語る可能性のある人たちが海を眺めて「ラギさん…」みたいな懐古ができるでしょ。
兎さんとかそういうの好きそうだし(偏見)華泉さんは兎さんの話で貰い泣きしそうだし(偏見)凪さんは海を眺めて一句詠んでくれそうだし(偏見)ちょりそーさんは海を眺めて飲むでしょ??(現実)
あと形見分けね。
栞さんはアクセサリー、浅倉さんには塾の先生の遺書を押しつけるとして、あと誰に何を送ろう。物持ち悪いから1年以上使い込んでるものがないんですけど…
あ、だれかこれ要る?
高校時代から今日に至るまで、心震えた言葉やフレーズや比喩を一心不乱に書き殴ったノートです。私の知識と語彙の集大成。snow越しのギャルみたいに写真だと綺麗ですが、年季が入ってるので実際は古いです。10年前のノートだからね。
中身こんな感じです。
数少ない財産のひとつ程度には大切なので、どうせ捨てるなら大切にしてくれる人に譲りたい。なんなら私を知る共通の知り合いと一緒に読んで思い出に花を咲かせてください。
まあ死ぬ気はないけどね!
最近、外人からの謎のコメントが多くてコメント停止したんです。でもTwitter退会したし、いつか誰かが来てくれたときのためにコメント欄も復活させようか。
誰も来てくれなかったら私生活&ネット共に孤独死でウケますね。(ウケない)
下に拍手も設置しました!
手術期間は確実に病みポエム投函する自信あるので、言葉を掛けずらいほど病んでたらそっと押してやってください。通知が届くはず私に。
ノシ
サプリやヤクルトは継続して飲まないと意味がないらしい。
体の内側から美しくなるという女性の美意識を煽るフレーズに気持ちも購買意欲もそそられるのですがいかんせん継続力がないんです。性格の問題ですね。ご縁がなくて残念です。
とづさんが描いてくれたラギもちゃ!
左:ラギ
右:もちゃ
>>圧倒的百合感<<
ゆるく引き寄せる手と垂れ下がった腕、結ばれない視線、うまれない言葉。とづさんは猜疑心と愛の関係性を表現するのが上手ですね。本能的な反射というか、不用意に近づきすぎてどちらともなく身体を離すときの、あの一瞬の動揺を切り取ったような構図です。
翼の折れたラギめっちゃ可愛い。(自画自賛)
以下、刀剣乱舞・活撃の感想です。
ネタバレ含みます。ご自衛を!
活撃の1話を見逃した後輩に「活撃はまつりさんの家で観ます('ω')」と一方的な約束を取りつけられ、律儀な私は彼女が家に来るまで刀剣乱舞を撮り溜めしてたのですが
人を招く時間がない。
とはいえ彼女が家にこないと私も視聴できない。好きなものを好きな相手と共有したい勢(過激派)の私としては是が非でも彼女と観たい。
まつり「ちょっと待って考える。整いました」
後輩「はやいwww」
そして考え抜かれた方法がこちらです。
まつり「LINEのテレビ通話」
後輩「天才」
これなら後輩と一緒にアニメがみれる!
後輩「もう少し角度を調整してください」
まつり「無理だよ。これ以上PC端っこに置いたら台から落ちる」
後輩「補助台とかなのないんですか?」
まつり「椅子なら」
介護されてるパソコンみたいな図になりました。
まつり「椅子デカすぎて私がテレビ見えない」
後輩「私が妥協します」
という事で後輩と一緒に刀剣乱舞をみました。
5秒持たずキャアキャア騒ぐお互いの声がうるさいため、会話はLINE(携帯)で行いました。
■視聴中
まつり:で、でた~~~大卒の兼さ~~~~ん
後輩 :ジブリ感やばい
まつり:のどか
後輩 :どこいるのこいつら?
まつり:犬夜叉っぽいBGM
後輩 :犬夜叉wwwwwwwwwwwww
まつり:兼さんたちって人間にも見えてるの?
後輩 :同じこと思いました
まつり:堀川新参?
後輩 :こんのすけが鈴からモニター出した
まつり:目からビームみたいに出ると思ってた
後輩 :わかりみ
まつり:兼堀が宿泊!!?
後輩 :ありがてぇ…
まつり:初夜じゃん…
後輩 :ありがてぇ…
ここら辺までは喋れてたのですが、薬研の登場で心が乱れる2名。
まつり:やげん!!!!!
後輩 :やげーーーーーーーーーん!!!!
まつり:あっあっ
後輩 :んんんんんんんんんんn
まつり:ひゃぁ
後輩 :ふぁああああああ
しばらく意味不明なやり取りの後、一話が終わって冷静さを取り戻しました。
後輩「薬研の太ももしか覚えてない」
まつり「わかる」
二話で二番隊の自己紹介シーンが挟まれて、ふたりで「槍の紹介が長すぎる」「巻きで」「薬研はよ」「焦らしかな???」と騒いでましたが、満を持して薬研の番が回ってくると
薬研「薬研藤四郎だ」
>>一言で終了<<
声出して笑いました。
後輩 :短いwwwwwwwwwwwwwww
まつり:薬研しんどいwwwwwwwwwwww
後輩 :もっとファンさしてwwwwwwwwwwww
まつり:心折れそうwwwwwwwwwwwwww
後輩 :折れるは禁句wwwwwwwww
まつり:心さげぽよwwwwwwwwwwww
後輩 :さげぽよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
薬研の塩対応に意気消沈するどころか逆にテンションがあがってきた我々は、鶴丸が登場する頃にまた死んで、二番隊が6振り揃ったことに拍手して、三日月が登場すると同時に息を引き取りました。
こんな感じで昨晩は刀剣乱舞を1話~7話まで一気に視聴しました。
感想:まんばちゃんの初期刀感やばい。
私からは以上です。
ところで私のブログの書き方についてY管理人から「前世代の書き方」という暴言を喰らうのですが、私だって自覚してるよ。
平成3年生まれの人間が平成3年~平成29年にかけて培った文体を自らのブログで発揮して何が悪い。わかりやすいものは引き継がれるんだよ。平成15年に繁栄したギャル文字は絶滅しただろ。
文字サイズの変更や赤文字ツッコミはブログリで学びました!皆もぜひブログ書いて!
ノシ
深夜23時。
扁桃腺炎(38.4度)で寝込んでいる私に大量の画像を送ってくるちょりそーさんが「先日のTwitterをブログまとめろ」と労働を強いてきたので泣く泣くPCを立ち上げたまつりです。
鬼かな? 好き
そゅぅの…
やめてょ。。
ドキドキしちゃぅ…(※風邪)
本題いきます。
先日の話です。
仕事中、休憩時間よりも長い電車移動の際に不運にも人身事故に巻き込まれた私はこれ幸いと女子高生の呟き巡りに勤しんでおりました。(日課)
そのときに
女子高生@18sai
フォロワーさんは皆良い人なんだけど一部合わない人がいて…うぅ…ちょっとした事で傷つく私が悪いんですけど…><;
という呟きを見つけました。
この呟きへの返信数が50超え。
可哀想に。炎上したか。
まあでも未成年だしなにより女子高生だし未熟ゆえの失言はよくあることだから、気にせず明るく生きろよ!と同情しつつ好奇心でリプを覗き見。
「大丈夫?」
「つらいことゎ共有しょ。。?」
「なんでもっと早く相談してくれないの><!」
…嘘だろ???
まつり @chatroom_ragi
「フォロワーさんは皆良い人なんだけど一部合わない人がいて…うぅ…ちょっとした事で傷つく私が悪いんですけど…><;」って呟きを読んだんだけど、これは本当に彼女が悪いし何故その主張をTLでするのか謎だし「私でよければ相談してね;><」って書き込むフォロワーも総じて謎。
感性が他人とズレてるのは構わないのですが、倫理観がズレてるなら修正したい。
と考えつつ、
まあ99%は皮肉とジョークでした。
ここまでは独り言です。
しかし、人が作った皮肉に毒を孕ませて回し食いさせるのが私のフォロワーさんです。
ちょりそーさん @cyori
相談してねって書き込んだ奴が苦手な人本人だったら面白い
ぜったい乗ると思った
他意の無い悪意を指摘して吊るし上げる役目が私なら、吊るし上げた人間に投石する役目はちょりそーさんです。
まつり @chatroom_ragi
茶番劇じゃないですかwwwww
ちょりそーさん @cyori
自覚してて敢えていく心の強さの人だったら、そのキャットファイトには興味があります
このTL以外にそんなキチガイはいない。
まつり @chatroom_ragi
今暇だからだれか私の愚痴をボロクソ書いてよ。私が「これ私のことだょね。。><;」ってリプするから、そこから恋愛に発展するキャットファイトしよう。
ちょりそーさん @cyori
まつりさんとキャットファイト勇気ありすぎるでしょwwwww
まつり @chatroom_ragi
けんかうってよ!!!!!!!!
ちょりそーさん!!!!!!!!
ちょりそーさん @cyori
名指しwwwwwwwwwwwww
私の暇つぶしに巻き込まれるのはだいたいちょりそーさんと相場が決まってるので、巻き込み事故に慣れてるちょりそーさんは素早く対応。
ちょりそーさん @cyori
フォロワーさんの中にちょっと苦手な人がいて><;
ちょっとのことで傷つく私が悪いってわかってるんだけど><;
お酒飲みに行くと毎回潰されるし><;
ビッチ疑惑かけられるし><;
【リプ1】【リツイート】【♡6】
秒でふぁぼが付きました
浮上せず潜伏してるフォロワーさんがいる。
(※いつものこと)
まつり @chatroom_ragi
私が言うのもアレだけど、ちょりそーさんって絡まれ体質だよね。
【リプ1】【リツイート】【♡4】
ちょりそーさん @cyori
文面必死に考えてる間にこれですよ
【リプ1】【リツイート】【♡4】
ちなみに、飲みの席でちょりそーさんを確実に潰す人間とは
僕の事かな????(左)
よろしい、ならば戦争だ
まつり @chatroom_ragi
これってもしかして私の事じゃないかな……うぅ……ちょりそーさんってこういう悲観的な考え方する人だったんだ…なんちゃってパリピかょ。。でも、ちょりそーさんとの関係を崩したくないから言えないよぅ……><;(引用RT)
直リプじゃないけど相手が確実に目を通すであろう引用リツイートで向こうの動向を探る陰湿な女のマネしてみました。
ちょりそーさん @cyori
わぁーすごい><;
引用リプって通知されること知らないのかなぁ><;
わかってるならわざわざ目につくところで言わなくたっていいのに><;
やっぱり苦手かも…!><;
どうしたらいいのかな誰か助けてー><;
この呟きを皮切りにイスカさん浮上。
イスカさん @isuka
私でよかったら…って入っていきそうになったけど、そうやって入っていくのがまつりさんだよね??黙って見守らなきゃwwwww
そうなのです。
これは『苦手な人がいる><;→相談してね><;?→おめえだよ><;!』という茶番劇なのです。
私とちょりそーさんのタイマンなので他のフォロワーさんを巻き込めないのが残念ですが、予定調和を目指して頑張りますので、どうか暖かく見守っていてください。
魚春さん @uoharu
@cyori
私でよければ相談してね><;
>>突然の魚春さん<<
予定調和を許さない魚春さんの攻撃により方向性を見失う私。えええ流れどうしよう。友達の相談に乗ろうとしたら実は私の悪口でしたルートが上書きされてしまった。
ひつじさん @meeee
いすかさんの黙って見守らなきゃの直後にうおはるちゃんがリプしてて草
イスカさん @isuka
うおはるさんwwwwwwwww
こうなるとフォロワーさんを巻き込んだほうが逆に面白い気がしたので、どちらが多くのフォロワーさんに支持を得られるかに路線変更。
まつり @chatroom_ragi
ちょりそーさんが何か言ってる……先に絡んできたのは向こうなのに、まるで私が加害者みたいな言い方……><。
凪さん @nagi
なんかフォロワーさん同士がいざこざ?してて…なんだかなぁって思う><。
魚春さん @uoharu
ちょりそーさんってビッチなの?
まつり @chatroom_ragi
秘密ですけど…ちょりそーさんはビッチです><;
凪さん @nagi
本当にここだけの話ですけど、ちょりそーさんって恋人の他に28人の男がいるらしくて…28股って…足何本あるのかなって話になって…みんなちょりそーさんのこと人間なのかなって疑ってる説もあって…
魚春さん @uoharu
ここだけの話(鍵なし垢)
おや、なんだか凪さんが肩入れしてくれる。
凪さんはまつり派(設定)かな??
ちょりそーさん @cyori
まつりさんのことブロックしたほうがいいかな…??
凪さん @nagi
ぅん、これはちょっと酷いとぉもう。。。
凪さん設定ガバガバすぎでは???
まさかの両サイド支援派だと…
おいおい新手の過激派かよ…
もう電車が池袋着いちゃうよ
凪さん @nagi
みんなで仲良くできるのが一番だよね。。。誰の目にも見えるところでやるのは、ぅん。。。かなしいきもち。。。
ひつじさん @meeee
ほんとうだょね。。。
なんか関係ない私まで落ち込んできちゃった><。
凪さん @nagi
Twitter少し離れようかな。。。
ひつじさん @meeee
Twitter離れたらさみしぃよ~~~><。
私が相談乗るからそんなこと言わないで~~
凪さんぜったい鋼メンタルでしょ
人に相談しなくても自力で解決できるタイプでしょ!相談に見せかけて嫌いな奴を裏で貶める陰湿な性格が垣間見えてるよ!気づいてひつじさん!
ちょりそーさん @cyori
(この茶番いつまで続けるんですか?)
まつり @maturi
(ハピエンに繋がるまでですよ)
次が目的地の池袋なので是が非でも終わらせなければ。※仕事中
まつり @maturi
ほんの少しのすれ違い
どうしてわかってくれないの?
今日は雨だね
まるで私の心に共鳴してるみたい
私の心も雨模様
いつか晴れる日が来るのカナ。。。
魚春さん @uoharu
謎ポエムwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
凪さん @nagi
声出して笑ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
間接的な喧嘩からフォロワーさん達を巻き込み、心が弱って謎のポエム呟く流れって20代一般女性によくある心理状態じゃない???(※ない)
そんな事をしてる間に電車が池袋に到着。
まじか!!!! ※仕事中
もう流れとかオチとか考えてらんない。先生のサイン会で使うスタンド花の注文電話を掛けねば。
まつり @maturi
ねえちょりそーさん。。。
私たち、もっと話し合おうよ。。。
こんな酷い争いってないよ!!!!!!!!!
セックスしよ!!!!!!!!!!!
~(アクロバティック)happy end♥~
ーー 強 制 終 了 ーー
私の暇つぶしに巻き込まれてくれた親愛なるフォロワー様たちがこの後どうなったのかは、TLの流れが速すぎてわかりませんでしたとさ。
おしまい♡
ノシ
放置しすぎて広告出てた
初体験です。
こんばんは。
つい先日に新しいフォロワーさんをお迎え致しまして、その方がブログのlinkから来てくださったとの事で嬉しくて更新してみました。
夜はナイトプールに行く予定でしたが私のアンドロイドさんが大雨・洪水警報をビンビン訴えてくるので控えました。外超雨!私のアンドロイド優秀かよ
最近は転職したり引っ越したりPCを買い替えたり髪を染めたり、年齢的にも自分なりに道筋を立てて人生の整理整頓をしているのですが周囲からは情緒不安定に映るらしく頻繁に「死ぬの?」と聞かれます。死なねえよ。身辺整理じゃねえよ。
私「心機一転でネットも整理するよ!ブログお引越ししようかな!」
Y管理人「コメント引継ぎできへんで」
マ???
だれか記事も日付もコメントも引き継げる優秀なブログがあったら教えてください。広告が少なくて解析が搭載されててシンプルなデザインだと嬉しいです(強欲)
Y管理人「忍者のなにが嫌なん?」
私「忍者さんでも良いんだけど忍者さんはなんかこう長年連れ添った誠実な彼氏みたいな安心感があって、安心感がありすぎて、なんかこう……ね?」
知り尽くした伴侶というか…
読み終えた小説のような…
ね???
それはそうと新しいPCが届いたのでpixivを再開させます。
上記のとおり心がビッチなので刀剣乱舞なのか暗殺教室なのか黒子のバスケなのか一次創作なのかは未定です。大穴で百合に傾くかも。
pixivを消すときに親愛なるフォロワーさま各位がおもしろ半分に池袋ラギ追悼式をおっ始めたので(だいすき)一度死んだ者の名を語るのも無粋かと控えていましたが、もしかしたら馴染みある名前で再開するかも。
自分の事ながら予報円が大きすぎて進路が定まらない台風5号のように予測不能なので、もう少し見通しがついたら改めて告知します。気ままに移ろうので気が向いたら構ってください。
ノシ
正社員雇用の後は『多忙』の一言に尽きました。
アルバイトとはワケが違う。
完全成果主義。給料は己の実力に見合った額。自分で出したマイナスは半月以内に吸収する。失敗したら炎上商法に切り替える。
とくに桜木上司から「稼ぎたいなら一通りの仕事を回せるようになれ」との指示を受け、最初の1ヶ月は営業の人について回り、受注交渉と広告取りのノウハウを学びました。
うちは業界は一定の位置を築いている会社で、社名にブランド力があるのが救いでした。名刺を交換すると「おっ」という顔をされます。クライアントは一回りも二回りも上の人ばかりだったので軽く見られる場合もありましたが、大体は会社名がカバーしてくれました。
「あなた芸能に知り合いがいたわよね。春祭りの記念フェアで俳優の××使いたいから繋いで」
「冗談ですよね?」
「外と連動で構わないし、なんなら仕事取れるまで直行直帰でも構わないのよ。でも3日間帰ってこなかったら退職扱いにするから」
要約:営業もやれ。仕事もとれ。
「条件呑ませるのキツいなら自己判断でインセンティブ持たせていいわよ」
要約:自己責任だよ。
「××さんのほうが適任じゃ」
「彼いま刑務所よ。××からの指名が貴女」
「代理戦争じゃないですか!」
「頑張りどころね」
要約:結果第一
正社員雇用を舐めてました。ちょうど『社畜』という言葉がブレイクした時期でしたが、まさにこれかと思いました。会社の家畜。凡人と秀才と天才の違い。給料の差。法に触れても隠し切れ。
社会の歯車として回り始めた日々は、だけど、とても充実していました。
◇
ゆいはいつも家で漫画を描いてました。あふれやまぬ才能を流し続けるように黙々と。
彼女は社会に適合しにくい子かもしれない。この頃になってようやく気がつきました。自由奔放に生きる事の代償。人にも社会にも囚われず己の心に従って毎日を生きている。
「ヒトコマに10行以上入れると読みづらいよ。文字読ませたいならフキダシを繋げるか削るかして書かないと」
「文字じゃなくて絵を褒めてよ。綺麗でしょ?」
ゆいは人の心を繊細に読み当てる。
トリッキーな構成と深い心理描写。人間を観察するゆいの視線は確かだった。資質だ。自分の世界を白紙に投影できる。ゆいの目に映る世界は愛で溢れていて、人は愛に翻弄される。
万人受けはしない選り好みされる世界観だけど、一部で熱烈的なファンがつくスタイルだ。
「ゆいの絵が上手いのは知ってるよ。才能あるんだから、ちゃんと読ませる漫画を書かないと。出版社に持ち込みはしないの?」
「漫画は息抜きなの。私は小説を売りたいから」
「だったら尚更、早くアプローチしたほうが」
「あなたが編集者として一人前になったら」
当たり前のようにさらりと言い放つ。
「私が小説家で、あなたが編集者。約束したでしょ?」
ゆいは他人に、恋と似ている感情をすり込ませる。彼女といっしょに居過ぎると距離感が狂う。
「はやくゆいを世界に送り出したい」
「うん。待ってる」
1人は1つの幸福しか掴めないと盲目に思い込んでいた、あの頃の私とはちがう。ゆいにとっての私は、幸せの一部であればいい。
飢えて奪いあう関係じゃなくて慈しみ与える関係に。彼女の糧に。何かを捨てろと詰め寄るような、手持ちすべてを晒して愛を乞う、そんな関係じゃなくて。
昔と同じ関係に戻ったら、また破綻する。
「そうだ。これあげるよ」
「なに?」
「パンドラ」
「ブレスレット?」
「似合うと思って」
ゆいは、尽くしたがるようになった。してもらうことよりしてあげることの喜びを、どこかで覚えてきた。誰かに教えてもらったんだろう。好きなものを愛でる時間の尊さを。
誰かがゆいの奥深くに入り込んだ。押し入るような強引さでも塗り替えるような激しさでもなく、彼女のなかに溶け込むように。誰かが。
夜型のゆいに付き合うたび、私は寝不足のまま出社しました。
「眠い。眠すぎる」
「会社休めば?」
「なんて言うのよ」
「美女と話してたら夜が明けました」
「殺される…」
私はゆいに理屈ではない感情を抱いている。ラクはそれを依存や錯覚と呼んだ。
なんでもいい。
私がやっと掴んだ幸せを、他人がどんな名前で呼ぼうとも。
あんな日々は二度とない。
幸せだった。幸せが飽和して、失くすときの衝撃を考えるほどに。一緒に暮らしている私が誰よりもゆいの傍にいる。頭ではわかってる。
だけど過去がある。
捨てられた過去が。
彼女はいつでも私を捨てられる。
そんな事実を一度、苦しいほどに思い知ってしまった。裏切られた過去を忘れないよう思い返しては、心の傷口を何度も抉る。傷が癒えれば忘れてしまう。あの不幸を忘れて全幅の信頼を寄せることが怖かった。
前向きに、彼女と共に生きていきたい。
だけど傷つきたくない。
無様な強迫観念。身の丈に合わない相手を好きになり、勝手に怯えて縋りつく。飛び続けなければ海に落ちる渡り鳥のように、自ら望んで決めた道なのに、その果てしなさに疲弊する。
毎日が穏やかで幸せだった。
なのに過呼吸が慢性化した。
夜はとくに駄目だった。壁を這う手の音がする。羽虫の屍骸が降る幻覚をみる。ふと見下ろした床に人影が映る。
怖かった。
私を恨み続けるだろうラクの存在が、若くして死んだ弟や花の無念が。見えない何かに追い詰められる。一番欲しかったものを手にした瞬間、捨ててきた過去に囚われた。
吸っても満たされない肺が苦しい。
心が苦しい。
「大丈夫?」
背中をさする手は優しくて、慈しむという表現が当てはまりました。ゆいが私に触れるたび頭を撫でる母の手を思い出す。こういうとき私がゆいに求めるものを垣間見る。
「愛より深い感情ってあるのかな?」
「情じゃない?」
ゆいは私を愛してない。彼女が私を傍に置くのは贖罪だ。本人に直接聞いたわけじゃないけど、確信があった。
「そばにいて」
「そばにいるじゃん」
もっと。
ゆいが私に与えるものだけで生きていきたい。満たされたい。貴女に。
「どうして私たちは血が繋がってないんだろう」
血統が何より重視されるあの町で、もしも私たちが姉妹だったら生きてゆけた。それはとても素敵なことだ。おとぎ話みたいな空想を話したつもりだった。なのにゆいは不機嫌になる。
「血の繋がりがないと信じられない?」
そうじゃない。
そうじゃないのに言葉が見つからない。
「すきだよ」
「知ってる」
「もっとわかって」
「わかんないよ」
わかってよ。あの頃みたいに。
ふたりでひとつの生き物みたいに何でも共有しあった、あのときみたいに。
「私の事もっと頼って」
記憶が巻き戻される。絶望的に絡み合った心の糸を、きれいに解いてみせたのがゆいだった。
「あなたは、」
ベットの中で抱きしめあう。私たちは身長も体重もほとんど同じで、まるで自分を抱きしめてるみたいだった。
「あなたはたぶん、家族がほしいんだよ」
夜は怖い。けど好きだった。上下も左右も見えないこの暗闇で、ふたりで薄い毛布に包まる。朝が来なければ幸せな夢は永遠になる。いまここで死にたい。
夢をみた。
チャイムの音が鳴り響く。あの頃の夢。
メールのフォルダをゆいだけ分けて、何度も新着メールの問い合わせをした、一人の夜。廊下や階段の貼り紙、グラウンドの木蔭、部活に励む生徒の声。鍵はなんでも交換した。ロッカーも、自転車も、部屋も、宝箱も、ゆいが開けられない扉はない。貴女の知らない秘密はない。わたしのすべてをあげた女の子。
『ふたりだけで生きたい』
あのころ望んだすべてがここにある。
なのに心は空虚だった。
私はまだ、18の春を卒業していない。
◇
私たちはずっと2人だったわけじゃない。
3人のときも10人のときもある。
傷を抱えた人ほど、不思議とゆいの傍に集まった。
根っから同性しか愛せない子、ホストに嵌ってしまった子、父親が自殺した子、頭が弱くて人を苛立たせてしまう子、学校に馴染めない子、浮気を繰り返してしまう子。一癖も二癖もある女の子たちは光に集まる羽虫のようだった。
「家に帰りたくない」
「じゃあ、うちに住む?」
平気でそんな事を言う。私がいるのに。
「ゆいちゃん彼氏いないの?」
「彼氏はいないけど恋人はいるよ」
「同性愛者?」
「わかんない」
ゆいが私と同居してるのは周知の事実だ。自分に集まる視線に気づかないふりをしながら、関係を隠さない堂々としたゆいの態度に満足する。
「あなたとゆいは、いつから付き合ってるの」
「…高校、だと思う」
「いいなあ」
通いのクラブにゆい専用の取り巻きができるまで、一ヶ月もかかりませんでした。
ゆいは、あらゆる人間を片っ端からたらしこむプロだ。分け隔てなく優しい彼女にみんな傾倒していく。憧れから執着に。まるで人間麻薬だ。やさしくて強い。そして誰もが認める美人。こう在りたいと思う女性像を体現したような完璧な女の子。
「ゆいさんのこと、好きだなあ」
愛される努力ができない女ほど愛されたがるのは何故だろう。私とゆいは唯一無二だ。水や空気のように求め合う。そんな私達の間に入り込もうとする人間も少なくなかった。
ゆいを盗られる。
「ハコ変えようよ。強いお酒が飲みたい」
ゆいにハマッた人間は片っ端からホテルに誘った。
「可愛い」なんて死ぬほど吐いた。リスカを重ねたぼろぼろの肌に口付けて、理性が無いのかと疑うほど肥えた豚女に微笑んで。
都会の片隅。10階のホテルで朝を迎える。
「あなたの事が好き」
何人、ゆいから私へ乗り換えたか。体から始めた関係に心が伴うのは何故だろう。すでに特定の人と濃密な関係を築いてる私を好きになる気持ちがわからない。
「ごめんね」
しらけた心で突き放す。
手に入らない寂しさを他のもので埋めるならまだしも、代理のものを使用しすぎて本物だと思い込む。恋は取り替えの効く感情じゃないと知らない幸せなおんなのこたち。
「私に告白するとアナタと寝れるっていうウワサがあるんだけど、知ってる?」
ゆいの顔色を窺うことは習慣だった。だから私はゆいの不機嫌に敏感だ。
「だれが言ってたの?」
「答えてよ」
戯れるように流しながら言い訳を考える。私の行動はすべてゆいに繋がる為だけど、そんなこと知らないゆいから見ればただの浮気だ。
「ゆいが」
目を伏せる。
「誰かに盗られるかもしれないって、不安で」
「だから浮気するの?当てつけ?」
「ちがう」
「なにが違うの?」
怒ったときほど口数が減る。ゆいには昔からそういう癖がある。不幸を嘆くことは惨めだと黙り込み、泣きもせずひたすら堪える。
「…もういいや」
彼女がこんな風に、静かに笑うようになったのはいつからだろう。猫のように擦り寄ってきた体を抱きしめる。言葉が足りないときに、肌で慰めあうのは楽だった。
諦めたほうが楽だった。
成長と共に変わっていった関係に二人して戸惑ってる。そんな空気だった。出会った頃は隠し事なんてしなかった。ゆいだって気に障ればすぐに怒った。いまは二人とも曖昧に微笑むだけ。
「昨日遊んだ子なんか、今すぐ忘れて」
ゆいが時折みせる、触れた場所から壊れそうな脆さ。それが怖くて私は常に細心の注意を払ってた。あの頃の私はそういう機微に目敏かったから傍にいられたのだろう。今の私にはゆいの弱さがどこにあるのか探し当てられない。
ゆいがわからない。
たぶんこの頃からだった。
ゆいは『新しい事』に執着し始めた。
私が着て出かけた服と下着をすべて処分させる。人から教わったレシピの料理に口をつけない。別の誰かと行った旅行先を嫌がる。
新しいものを着て。振舞ったことない料理を作って。まだ知らない場所へ出かけよう。
「だれにもしたことないことして」
病的だった。
たぶん、お互いに。
表情や仕草や言葉に含みがある。この言葉にも意味がある。察して理解しなくちゃ。理解して共感しなきゃ。
嘘が重なる。
本当は何も見えない。
世界で一番安心できた彼女の隣が息苦しい。
恋はどうして難しいのだろう。同じ気持ちと同じ分量、同じ色でなければ衝突しあう。すべてが一致する心なんて見たことがない。
わたしは何かになりたかった。
彼女にとっての何かに。
取り替えることのできない何者かに。
唯一に。
◆
三度目の絶望が迎えに来た。
あの夜も冬だった。
食事を済ませた深夜。小さいケーキを2人でつまんだ。私がコーヒーを2人分用意して腰かけたとき、ゆいは「飲めない」と断った。静かな声が不穏だった。乾燥機が音を立てている。なのにゆいの息遣いが聞こえる。幻聴。
こういうときの予兆は、一体なんなのだろう。
「子供ができた」
この話を聞く1分前に死んでおけば良かった。
「誰の子供?」
「今付き合ってる人」
耳鳴りがした。ガザガザとしきりに鳴り続ける、乾いた花束を踏み散らかすような音。しばらく虚ろに部屋を眺めながら、ああ幻聴かと気がついて笑う。
笑うしかなかった。
「ゆい、付き合ってる人がいたの?」
「うん」
「私は?」
可愛いお人形のように小首を傾ける。
「もうひとりの自分って感じ」
ゆいは無邪気に、無邪気に言う。
「彼にはHIVのこと話してないんだ。だから産んでも結婚はしない」
頭の中で何かが弾けた。
「一緒に育ててよ」
私はゆいの歪みを愛してた。人格形成の過程で欠損が生じた彼女の孤独に共鳴した。生きるために求め合った。お互いを「もうひとりの自分」と呼ぶことが究極の結論だった。
あまりにも近づきすぎて、気づかなかった。私たちは別々の生き物であるということを。私はゆいで、ゆいは私だった。
ああ、だからか。
いつも、ひとりで生きてる気がした。
こんなに強烈に、切実に、彼女だけを求めているのに。
無意識に立ち上がっていた。
最初は、なんだったか。たぶんカップを投げた。腕を掴む。雑草を引っこ抜くように乱暴に立たせて頬を打つ。倒れたゆいの体を押さえつけた。母体だなんて信じられないくらい細い。打った頬が赤く染まった。
目を細めたゆいが私をみあげた。
笑ってる。
私も笑った。
「私になにか言うことは?」
「暴力は人格障害だよ」
「私が教えた言葉だね」
懐かしい。暴力を振るう人間は自制心が弱いと、分かったような口をきいて彼女を慰めた。
白い肌に青痣をつけて登校してくるゆいを、高校生の私は心から心配してた。彼女の傷口をみて泣いたこともある。彼女が受ける理不尽な暴行が許せなかった。
「叩かれるの、慣れてるでしょ?」
ゆいの表情が凍りついた。刺した、という手応え。やっと顔色を変えたゆいの頬を撫でて、顔を動かせないように固定する。仄暗い悦びを感じた。
大丈夫。ゆいは慣れてる。
親に殴られて育った子供だ。
「ゆいは奇麗すぎるよ」
銀行員だと聞いていたゆいの母親が、本当は元風俗嬢だと聞かされたとき妙に納得した。ゆいが醸しだす絶妙な色香は、かすかにその手の商売を連想させる。彼女は哀しいほど母に似ていた。客と結婚して幸せを掴んだ母親をゆいは心底軽蔑してた。
「痛いけど我慢して」
障害を与えよう。
これ以上だれも惹きつけないように。
テーブルに飾ってあった香水を掴んで、ゆいの左目に叩きつけた。悲鳴が聞こえる。角度を変えてもう一度殴りつけた。ゆいが私の腕を思い切り引っ掻く。鼻を折らないように気をつけながら殴りつけた。
幻聴をきいた。学校のチャイムの音だ。どうしてだろう。心が荒むたびあの風景が蘇る。
悪夢だ。
いっそすべてが嘘ならよかった。
産まれたことさえ夢ならば。
ゆいがもし本当に一欠けらもわたしを愛していなかったら、わたしは心置きなく彼女を憎めた。あなたの心すべてが計算なら、取り繕われた美しさなら、嘘で作られた優しさなら。
母が死んだとき、先生がいた。ゆいに見放されたとき花が、心が不安定なときアキラくんが、先生が死んだとき父が、すべての繋がりを絶ったときY管理人が、震災で故郷を失ったときにはラクが。
世界はいつも気紛れにわたしを救う。
首の皮一枚、繋いで生きてきた。
どこかで死んどけばよかった。
チャンスはいくらでもあった筈だ。
「結婚しようよ」
救急車を呼ばなきゃ、と立ち上がったときだった。倒れたままのゆいが言った。泣いている。助けを呼ぶような小さい声。携帯を片手に持ったまま途方に暮れた。ゆいは掠れた声で続ける。
「海外に、いこうよ。ふたりで、ちゃんと幸せに」
声が途切れる。殺してしまったかと一瞬本気で思った。ややって、ゆいがしゃくりあげた。とても耳障りな発作的な泣き方で。
「しあわせに、なりたいよ…。もう、殴られるのはいやだよぉ…」
しんどい。しにたい。
震える体を自分で抱きしめて、小さく丸まって泣き出したゆいをみて立ち尽くした。拙い言葉で気持ちを伝え合ったあの頃より、語彙も知識も増えたのに、伝える言葉が見つからない。
「ゆい」
一番に信頼する人の名を呼ぶ。
彼女との恋を手放すことは、自分への裏切りのように感じていた。自分の人生から彼女を切り離してはいけないという思い込み。自負。幻想。
これを聞いたら、関係が終わる気がした。
「ゆいは私の、なにが好き?」
どうして上手くいかないんだろう。何が悪いのか検討もつかない。正解を導く理性すら残ってない。ゆいは私の何が良いというんだろう。
泣き声を滲ませた声でゆいが答えた。愛を知らずに育った子供が泣きながら笑う。
「やさしいところ」
もうだめだ、と本能で理解した。
私たちはもう一緒には居られない。これ以上傍にいたら死んでしまう。わたしもゆいも命を惜しまない。2人しかいない世界で傷つけ合って、お互いを壊してしまう。
好きなのか憎いのかすらわからない。
◆
最悪の朝だった。
ゆいは自力で病院にいき、私はその日に会社を辞めた。
退職交渉すら行わず、朝一で退職届を持ってきた私はすぐさま別室に呼ばれて事情を聞かれた。桜木上司、部長、人事、社長。思い直せ。長期休暇を取ったらどうか。きみは色々ありすぎて疲れてるんだ。
「恋人に障害を負わせる暴力を振るいました。きっと前科がつきます」
ゆいがどう立ち回るかわからない。だけど最悪のケースは考えておくべきだ。冷静に考えてみれば殺してもおかしくない状態だった。それほどの高揚と殺意があった。
「長い付き合いなのか?」
「高校時代からです」
烈火の如くキレると思ってた社長がいちばん淡々としていた。長椅子に腰かけたまま圧力をかけるように声を低める。
「向こうも震災も直撃か」
「両方を亡くしました」
「置かれた場所で咲きなさい、という言葉を知ってるか」
思わず顔を顰めた。社長は片手をあげて、いや、と言葉を濁した後に続けた。
「おまえに関しては不幸が多すぎる。この言葉は酷だな。だけど腐らずに、聞け」
虚ろな目をしていたと思う。そんな私に活を入れるように社長は声を張り上げた。
「半年だ。半年で復活しろ。この業界は厳しい。就職して3年持たない若い奴なんか、どの会社も取らない。おれの知り合いに当てがある。事情を説明して繋いでやる」
「…でも」
「ごたごた言わずに更生しろ!!!」
鼓膜を破る勢いで社長が叫ぶ。
「死ぬなよ!!!」
その一言に、心臓を鷲掴まれた。
ぎゅうぅっと喉の奥が鳴って、頭が真っ白になる。肩をばしばし叩かれて息が詰まる。
「死にません…」
「当たり前だ、馬鹿」
人と関わるとき、深く関わらないという前提があった。寂しさを打ち明けることも苦しみを吐き出すこともしなかった。他人を知ることも求めることも怠っていた。
ああ、私は怠っていたんだ。
人と向き合うことを。
自堕落でくだらない執着を、ただひたすらに育んだ。
昨日の事のように思い出す景色がある。
遠い日の海に、チャイムの音が鳴り響く。
おおきな学び舎でゆいと出会って、彼女が私のすべてになった。
潮の香り。突き抜けるような晴天。漁船に群がるウミネコ。何回転校したのだったか。環境が安定して高校に入学した年の春。ペアを組んだバトミントン。変な折り方の手紙。かわいいと言われ続けたあの頃。
あなたが好んで着ていたカーディガンの色、あなたが好きだと言って私に覚えこませた冬の歌、いつかフランス人の子を産みたいと言って私を嫉妬させたあの言葉。あなたが私の唯一で、私があなたの唯一だった、あの頃。
戻りたい。
高校時代に戻りたい。
あの頃ははやく大人になりたいと、あれほど願った癖に。
だけど何度人生をやり直せても、私は同じ道を行くのだろう。どんなに自分の世界を押し広げても、私はきっと、出会ったすべての人の中からゆいを選ぶ。
もう、全部、ぜんぶが過去だ。
とおく、遠くに来た。
別れの時が来た。
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謹賀新年!(※2月)
いつもなら1年の集大成(写真)を貼ったり語ったりするのですが、2016年の10月に携帯を割ってデータが消え、私の心も砕け散ったので断念します。
そう。
Androidが割れました
投げても落としても踏んでも乗っても割れなかったAndroidがついに…電車の線路にうっかり落としたときでさえ生き延びた彼がまさか…まさかトイレで逝くなんて。
残念でなりません。
おのれ笹乃雪め…!(※懐石料理屋)
Androidは本体がプラスチックなので画面が割れにくいらしく、そんな彼が割れたということは、よっぽどエグイ角度からイッたのだと思います。
久しぶりにアクセス解析をみたら月間訪問数が300を行ったり来たりしていて驚きました。私が忘れ去った「いけらぎ」という不定期更新のブログを覚えていらっしゃる方がいる…。
小説もコスプレも辞めた、何のとりえもないパンピーの私に興味関心を抱いてくれてありがとうございます。
最終更新が去年の9月?
…はて?
どうやらこの付近一帯で時空の歪みが発生したようですね。皆様も足元にお気をつけ下さい。
そんなことより!
とあるブログさんで『忙しい現代人のために名作を一言で即答』という素晴らしい企画に感銘を受けました。ので盛大に乗っかりたいと思います。
といっても、昔に読んだ本など覚えてない今を生きる人間なので、本棚から何冊か引き抜いて紹介します。
自分が楽しめる小説は人も楽しめると信じて疑わない浅はかな人間なので、暇で暇ですることが呼吸くらいしかないって人はぜひ読んでみてください。良い具合に暇が潰れます。
とりあえずジャンル分けして書きますね!
忍者さんはパレットで扱う色が素晴らしく豊富なので、ここぞとばかりに活用してみます。なんだかブログっぽいですね!←
①同性愛要素が強めの小説
②ホラー小説
③爽快な小説
わんこそばみたいな速さで紹介します。
いくぜ
◆霊応ゲーム/パトリックレ・ドモンド
・気弱な僕がクラスの有名人に執着されて皆死んだ。
はい次!
◆聖なる黒夜/柴田よしき
・「麻生っていう刑事に冤罪で刑務所にブチ込まれて転落人生だよ。死にてぇ」って線路で寝てたらヤクザの誠一に拾われたんだけど、誠一が殺されて今度は殺人の容疑かけられたわ。しかも担当がまた麻生。ウケる。
はい次!
◆夏の塩/榎田ユウリ
・めっちゃモテる天然のバイに懐かれて毎日大変。
はい次!
◆秘密の花園/三浦しをん
・汚い心も秘めた気持ちもぜんぶ隠して一緒にいましょう。
はい次!
◆ラビット・ケージ/木崎菜菜恵
・学校に閉じ込められて斧を持ったウサギが執拗に追いかけてくるけど恋の力で脱出。
はい次!
◆秋の牢獄/恒川光太郎
・同じ1日を繰り返すリプレイヤーたち。
主人公「人生やり尽くした」
死神「お迎えに参りました」
はい次!
◆屍鬼/小野不由美
・人口1300人の小さい村で死んだ人が「起き上がる」。元子供・元妻・元友達・元好きな人だけど、怖いから殺しとこう。
はい次!
◆終末のフール/伊坂幸太郎
・「8年後に地球が消滅する」って宣言されてから秩序が乱れて命の重みが一気に軽くなったけど、人は人を愛せるし子供はちゃんと可愛い。
はい次!
◆おまえじゃなきゃだめなんだ/角田光代
・「おまえじゃなきゃだめなんだ」って言われたいだけの人生でした。
以上。
ぜひお試しあれ。
これで終わるのはなんだか味気ないので、もう1つぐらい記事書きます。
ノシ
出版社に勤める友人に「まつりの小説にでてくる黄瀬くんは『~ッス』ってあんまり言わないよね」という指摘を受けました。
まつり「だってあれは作者のキャラ付けで黄瀬くんの本意ではないでしょ?5回に1回『~ッス』って混ぜ込めば上等じゃない?」
友人「キャラの特徴を殺しちゃ駄目でしょ。原作者の思惟だよ。郷に入っては郷に従えって」
まつり「黄瀬くん別に喋り方に拘らなくても強烈な個性があるじゃん。主人公のこと大好きで、副業にモデルしてて、公式認定のイケメンキャラじゃん」
友人「言いたいことはわかるけど…まつりの小説は含みが多すぎて読者が置き去りになるんだよ。状況と台詞で思惑を悟らせるのはそれこそ大御所ならではの技術で、まつりはそんな高尚なことできないでしょ」
まつり「商業じゃないからいいんだよ!黄瀬くん評論から小説全体の評価にすりかえるのはやめろ!私がやりたいようにやればいいの!私のできる範囲で黄瀬くんを目立たせさえすれば!」
友人「すべて赤司様の前では劣るがな」
ラスボスの名は伏せろ
架の人と呼べ
赤司くんは「努力も惜しまぬ天才」なので、彼がひとたび努力すれば民衆の努力など実を結ばぬ定めとなるだろう。
天才が余裕こいて気を抜くから平凡な人間に一筋の光が差し込むのです。ウサギと亀だってウサギがぶっちぎってゴールテープ切ってれば努力した亀はただの当て馬です。亀なのに配役は馬です。
…ウサギと馬なら馬のほうが速くね!?
ところで最近、『黒バスキャラが無機物化したら皆何になりそう?』という質問に対して、後輩ちゃんが言い放った「黄瀬は網」が頭から離れません。
黄瀬は網。
なんだろうこの良く分からない説得力…
黄瀬は…網…。
無機物の擬人化については、デュラララ!!にハマッた友人に布教された思い出があります。
彼女は静雄×臨也(わかる)から臨也×静雄のリバに走り(わかる)ついに「静雄が愛されれば平和」と悟りを開いてトム×静雄まで手を広げ(わかる)最終的に
自動販売機×静雄になりました。(わからない)
MAXやべぇと感じたのは自動販売機×静雄のR18本を考え始めたときです。
まつり「まておちつけ。趣味が高じる気持ちはわかるがそれは売れない!」
友達「やらなきゃわからないよ!」
わかるよ!!!
それは10年後に黒歴史となる産物だ!と必死で説得を重ねた結果、彼女はドブ金することなくサイト内での活動オンリーに思い止まりました。
◆10年後。
真夏の夜のもちゃ「赤司くん×扇風機の可能性…」
類は友を呼ぶのか、友が友を呼び私を囲うのかは微妙なところです。
ちなみに私の最高の黒歴史はGENOウイルス×Vistaです。WinもMacも感染するウイルスにVistaだけ罹らない、というVistaの防御力に激萌えして(あたまがおかしい)ブログで「ウイルス×PC萌え!!!」と書き散らしてたら、とある絵師に「その発想を漫画化していいですか!?」とご連絡頂き、私の黒歴史は恐ろしく拡散されました。
皆様もお気をつけ下さい。
一周回って普通の恋愛が一番です。
好きな人の大事なところに炭酸や缶を入れたり、家具である扇風機や冷蔵庫が人間に恋をしたり、受けがどんどんアバズレビッチ化するよりも、恋が芽生えライバルが登場し心揺られながらも最後はハッピーエンドに落ちつく王道が一番です。
普通こそが愛なのです。
2016年9月22日に父が他界しました。
初日は魂連れてかれたように凹んでましたが、徐々に落ちつきを取り戻しています。ツイッターではお騒がせ致しました。しばらく浮き沈みが激しいと思いますが、重たい話はなるべく呟かないように心掛けますので、普通に接してもらえると助かります。
いまやるべき事を真摯に受け止め、前を向いて頑張っていこうと思います。
また、ブログにて個人的に返信したいメッセージもありますので、落ちついた頃に改めて書かせてください。
ノシ
負けた気がしました。
寂しいがゆえに、ヤリたがってる男に股を開くところまで堕ちたか。もう25歳だぞ私。歳相応の貞操観念を持とうよ。
花丸は満足げに笑いました。
花丸「言っとくけど同意だから」
まつり「そうだね。さすがにホテル入った記憶あるし、無理強いされたなんて言わないよ」
花丸「記念日は今日だから」
まつり「はい?」
花丸「付き合い始めた記念日。ちゃんとおれ時間見てたから。日付変わってすぐだった。『付き合う?』って聞いたら『うん』って言ったよ」
う…嘘だろコイツ。
まさかの責任取るタイプ??
まつり「お…お構いなく」
花丸「構わせてよ」
まつり「まってよ…あ、マジで待て2回は無理」
花丸「うん。ゆっくりしようね」
正直言うと酔ってました。
だけど生理的に無理な人とは肩が触れるのも悪寒がするタイプなので、きっと色々と絆されたんだろうなあ…というのが感想です。
そういう事をする相手にはいつも「キスマークはやめて」と忠告してるのですが、花丸とは会話すらせず怒涛に始まり混乱したまま終わり、流されて2ラウンド目に突入。
花丸「最後にしたのいつ?」
まつり「情緒」
花丸「ねぇいつ?彼氏いないときはどうしてるの?まつりちゃんって遊んでる人?それとも一途?」
まつり「どっちでもいいじゃん」
花丸「一途だったら嬉しいな」
そうだね。
キミも私と一緒で、時間潰しで他人と抱き合えるもんね。そういう人間は反動みたいに一途な人間を傍に置きたがるよね。わかるよ。
自分と同じ人って怖いよね。
まつり「花丸は?最後いつ?」
花丸「先々週の日曜日かな」
まつり「彼女いないって言ったじゃん」
花丸「彼女じゃないよ。適当に捕まえた子。可愛くてロリっぽいギャル好きなんだよね。まつりちゃんのほうが全然可愛いけど」
全然嬉しくないわ。
抱いた女を比較するのやめろ。私も不愉快だし、そのギャルだってきっと嫌がるぞ。
花丸「ずっと触りたかった。可愛いなあって」
まつり「ギャルもそうやって口説いたの?」
花丸「長い間片思いして、ようやく落とせたのに『記憶がありません』じゃ困るんだよね。二回もすればさすがに覚えてるでしょ。てか覚えてよ。まつりちゃんは今日からおれの彼女だよ」
まつり「別の女の子とホテル行ったじゃん」
花丸「好きな子と、そうじゃない子の扱いは全然違うよ。まつりちゃんは特別だよ」
これ、私も後輩ちゃんに言ったことある台詞だ。
「なんで好きでもない人と寝れるんですか」って詰められたときに、これに似た返答をしたわ。なるほど。これは全然答えになってないね。
花丸「おれの実家先にきてよ。親に紹介したい。結婚前提で付き合おう。まつりちゃんのお父さんにも挨拶しに行くよ。だからその、親に紹介された男の連絡先は消して」
まつり「なんで知ってるの?」
花丸「まつりちゃんが話したからでしょ」
まつり「話したっけ?」
花丸「話したよ。あとおれのお嫁さんになるって言ってた」
まつり「それはない」
時間をかけて育んだ強い絆は、血に勝る。
父より母が好きだった。母より恩師が好きだった。恩師よりあの子が好きだった。
あの子より、の次はない。
結婚するならあの子が良い。あの子じゃないなら誰でもいい。どっちでもいい。父が紹介した男でも、このチャラついた男でも。
まつり「あのチビを切るには理由がいるんだけど」
花丸「婿養子でしょ。なるなる」
まつり「どこまで本気で言ってるのか知らないけど、とりあえずうちの父親が花丸のこと認めるまで、チビ次男もキープしとくから」
花丸「まじか」
まつり「チビの連絡先消してほしいなら頑張って父さんに気に入られて」
花丸「努力する。おれの利用していいよ。おれまつりちゃんのこと好きだよ。チビ次男何センチ?」
まつり「150cm」
何がおかしいのか、花丸はずっと笑ってました。
性格悪い奴。
私は花丸を好きじゃありません。
花丸に対する恋愛感情はない。
だけど花丸は父が認めるほどには高学歴で、勤め先も大手で歳も若い。なにより私に惚れてるぶん、あのチビ次男より花丸のほうが操縦しやすい。
花丸「今年の夏は楽しみだな。いまから色んな想像しちゃう。いろんなところに出かけようね。まつりちゃんは何したい?」
まつり「とくに…あ、桂歌丸の落語会にいきたい」
花丸「本気で言ってる?」
本気です
桂歌丸と三遊亭円楽の二人会の一般販売の受付に間に合わなくてショック受ける程度にはガチ勢だよ。調布のグリーンホール埋まるの早すぎだろ。枚数増やしてください。
あー円楽さんと結婚したい。
結婚ってこんなもんか。
まあ、いっか。
ノシ