2024年になったのか
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ヴィヴィアンくん「てか終電大丈夫ですか?」
ラギ「大丈夫じゃないです。終わりました」
ヴィヴィアンくん「ウケる。泊めませんよ」
私に対する毒針強すぎない?
そのまま個室居酒屋に入りました。横並びの席に通されて心が死ぬ。
立ちはだかるカップルシート。あまりに距離が近くて2人とも苦い気持ちが表情に出ましたが、大人なので文句は言わずに着席。
向こうがカクテルを頼んだので私も同じものを注文しました。お腹が空いたと訴えてた割に食べものを選ばないので「好きなもの頼んでください」と勧めたら、アボカドやら海老やらを注文してました。女子か?
ヴィヴィアンくん「打ち上げに行ってたんですね。あとで気づきました。佐久間さんもきてましたか?」
私「え…はい。いましたよ」
ヴィヴィアンくん「佐久間さんが池袋さんとの食事を『スパチャ』って言ってました」
推しに貢いでる感覚が欲しいと頼み込まれたので、双方の利害の結果ですよ。
とは言えず。
だって佐久間さんのこと好きなんでしょこの人。私が何か言うたび噛みつかれても厄介だし。そうやって遠慮しながら話してるから会話が続かない。
ヴィヴィアンくん「佐久間さんにあれだけ好かれて、好きにならないんですか?」
ラギ「相手の好意を好きになるって事ですか?」
ヴィヴィアンくん「相手の好意を…? 相手を、です」
ラギ「? …え。ないですけど」
ヴィヴィアンくん「ふぅん。俺は結構ありますけど」
身動きするたびに空気が揺れて、食べ物を咀嚼してるときの間がしんどかったです。話が途切れたときは目が泳ぐ。緊張って相手にも伝わるんだよなあ。やだなあ。
ヴィヴィアンくんは私にぶつからないよう、少し壁の方にもたれながらお酒を飲んでいました。
私「佐久間さんは都合が良いんです。向こうがそういう風に振る舞ってる。都合が良くないと一緒にいてもらえないような、自分に不釣り合いの可愛い子ばかり好きになってたんじゃないですか? 今までも」
『顔ばかり重視して中身を見てない』って言葉があるけど、顔ほど裏切らないものって無いよね。
触られて反射的に「嫌だ」と感じる相手は遺伝子レベルで無理だよ。現に私、いまのヴィヴィアンくんと同じ近さに佐久間さんがいたら耐えれないもん。
好きも嫌いも本能だよ。
ヴィヴィアンくんだって見た目で人を選ぶことくらいあるでしょ。
私の言いたいことを理解したのか、ヴィヴィアンくんは静かな声で言いました。
ヴィヴィアンくん「佐久間さん、俺と食べるときも出してくれますよ。『奢る』って言いだすのが恥ずかしいんじゃないですか? 確かに面食いですが、あの人の優しさも嘘じゃないですよ」
私「…でもヴィヴィアンくんって同性として佐久間さんと関わってるでしょ。私とは立場が違うじゃん」
可愛いって言った口で年齢をイジッたり、結婚しない理由を勝手に想像されたり、そんな人ばかりじゃん。この会社。佐久間さんなんて外部の人間だったし、接点のない人に好意を向けられてるって知ったら気持ち悪いじゃん。
私「私は人のこと言えませんけどね」
ヴィヴィアンくんは持ち上げていたグラスを置き、隣にいる私の顔をじっと見つめました。
ヴィヴィアンくん「俺が嫌いですか?」
私「ヴィヴィアンさんが私のこと嫌いなんでしょ」
ヴィヴィアンくん「そこまで言ってません」
私「この間は不快な気持ちにさせてすみませんでした」
ヴィヴィアンくん「池袋さんのこと可愛いって言ったの俺なんです」
なんて????
もはや処理落ち。話が噛み合ってなかったよね今。よくわからずヴィヴィアンくんを見ると、彼は神妙な顔で目を細めました。
ヴィヴィアンくん「中途採用の張り紙。あれを最初に見たのが俺です」
私「はぁ…」
ヴィヴィアンくん「そのあと喫煙室で佐久間さんに『中途に可愛い子いましたよ』って話振りました。その中に上司さんもいて、喫煙室にいた何人か連れて写真を見に行ったんです」
私「あ…そうなんです…?」
ヴィヴィアンくん「池袋さんが年上なんだろうなって事は所属班で察してました」
所属班で年齢わかるの?
初耳なんだが。
確かに20代後半が多い印象だったけど。
ヴィヴィアンくん「その後の事は関与してないんですけど、上司さんに聞いたら、池袋さんを見に行った野次馬たちが年齢不詳だって騒ぎ始めて、SNSで個人情報を探し当てたって聞いて」
私「どう思いました?」
ヴィヴィアンくん「普通に気持ち悪いなって」
でしょ!?
ヴィヴィアンくん「俺が池袋さんに嫌な態度取った日、上司さんに飲み誘われて知りました。池袋さん、俺のせいで嫌な思いしてましたよね」
私「嫌な思いというか…うーん」
ヴィヴィアンくん「うちの会社男ばっかりだから。可愛い人が入ってきて浮足立ったんですよ。男って単純だから」
いやわかるよ。悪意はないんだよね。
男同士でつるんで、可愛い子がいたらちょっかいかけて。私が若い頃、気弱そうな女の子に絡んでたのと一緒でさ。相手が反応すると嬉しいんだよね。
わかるよ。
わかるけどさ。
私「私もう30歳になるんですよ」
ヴィヴィアンくん「知ってますけど」
どう言えば伝わるかな。
自分よりも年若いこの子に。
私「可愛いって言われて嬉しいですよ。でも……。可愛いって言われて、からかうみたいに声かけられて、やだぁ~って可愛く反応する歳じゃないんですよ」
私が20歳ならできたよ。
25歳なら苦笑いで済ませた。
30歳に向けた男性の『かわいい』は、誉め言葉に見せかけた中傷もあるじゃん。
「歳のわりに」「可愛い」んでしょ。誉め言葉を真正面から受け取ったら「歳考えろ」って平気で言うでしょ。謙遜しない30歳は鼻につくでしょ。
知ってるんだよ、そういうの。
私「男性って、勝手に注目して勝手に評価するから」
あー本音がこぼれる。
できるなら理性的でありたかった。
ヴィヴィアンくんは目を逸らさず聞いてました。
ヴィヴィアンくん「言いたいことはわかるんですけど」
私「20歳の女の子がヴィヴィアンくんに『かっこいい』って言っても問題ないですよね。でも私が言うとセクハラになるかもって」
ヴィヴィアンくん「言うて24歳ですよ俺」
私「私が24歳の頃は無敵だった…」
ヴィヴィアンくん「その卑下が良くないんじゃないですか?」
歳を重ねていくうえで、見た目に対する言葉の受け取り方が変わっていった。傷つけられたことに怒るより、傷ついた自分を恥じて、生き方がどんどん保守的になっていく。
年齢を堂々と言えるうちは分からないよ。
ほどよくお酒も入り、ほどよく打ち解け、ほどよく話したところで、そろそろ帰ろうという流れになりました。
奢る約束だったのに私がトイレ行ってる間に支払っちゃったらしく、日本酒ぱかぱか開けちゃった私は肝を冷やしました。
たぶん1万5千円超えてる…
私「せめて折半!レシート見せて!」
ヴィヴィアンくん「うるっっっ…さいな~。なんで佐久間さんには奢られるのに俺には食い下がるんですか」
私「あの人はマゾだからいいんですよ!」
ぎゃんぎゃん騒ぎましたがレシートは出されず。
ヴィヴィアンくんは背が高いので歩幅が大きく、油断すると置いて行かれます。
私「足早いですって!」
ヴィヴィアンくん「はぁ? なんで俺が歩幅合わせなきゃいけないんですか」
私は漫画喫茶、ヴィヴィアンくんは帰宅の流れです。
メイク落としが欲しくてコンビニを探してたら、土地勘のあるヴィヴィアンくんが連れてってくれました。しかしセブン・ローソン共に在庫切れ。
私が仕事の電話をしてる間にファミマも見てきてくれたんですけど、そっちも駄目らしい。
ヴィヴィアンくん「台所洗剤ならありました」
私「メイク落としが良いです」
遠ざかるオフィス街。
ヴィヴィアンくんの帰宅道ついでに寄れるコンビニを案内してくれてたので、どんどん閑静な住宅街へ…
ヴィヴィアンくん「ここから先のコンビニだと、俺ん家通り過ぎちゃいますね」
私「なら戻ります。駅前のドンキとか」
ヴィヴィアンくん「それかうち」
家?
私「行っていいんですか?」
ヴィヴィアンくん「中には入れませんよ。ただ、家にくれば化粧水と乳液のサンプルもあるから恩を売れるかなって」
私「言い方」
気遣いが女性のそれ
やっぱりこの人は性対象が男性なのかも。
上司と話すときやけに距離近いし。
アボカドと海老食べてたし。
駅から10分歩いたここで引き返すより、残り3分で着く確実にクレンジングがある家に向かう事にしました。
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ヴィヴィアンくん「てか終電大丈夫ですか?」
ラギ「大丈夫じゃないです。終わりました」
ヴィヴィアンくん「ウケる。泊めませんよ」
私に対する毒針強すぎない?
そのまま個室居酒屋に入りました。横並びの席に通されて心が死ぬ。
立ちはだかるカップルシート。あまりに距離が近くて2人とも苦い気持ちが表情に出ましたが、大人なので文句は言わずに着席。
向こうがカクテルを頼んだので私も同じものを注文しました。お腹が空いたと訴えてた割に食べものを選ばないので「好きなもの頼んでください」と勧めたら、アボカドやら海老やらを注文してました。女子か?
ヴィヴィアンくん「打ち上げに行ってたんですね。あとで気づきました。佐久間さんもきてましたか?」
私「え…はい。いましたよ」
ヴィヴィアンくん「佐久間さんが池袋さんとの食事を『スパチャ』って言ってました」
推しに貢いでる感覚が欲しいと頼み込まれたので、双方の利害の結果ですよ。
とは言えず。
だって佐久間さんのこと好きなんでしょこの人。私が何か言うたび噛みつかれても厄介だし。そうやって遠慮しながら話してるから会話が続かない。
ヴィヴィアンくん「佐久間さんにあれだけ好かれて、好きにならないんですか?」
ラギ「相手の好意を好きになるって事ですか?」
ヴィヴィアンくん「相手の好意を…? 相手を、です」
ラギ「? …え。ないですけど」
ヴィヴィアンくん「ふぅん。俺は結構ありますけど」
身動きするたびに空気が揺れて、食べ物を咀嚼してるときの間がしんどかったです。話が途切れたときは目が泳ぐ。緊張って相手にも伝わるんだよなあ。やだなあ。
ヴィヴィアンくんは私にぶつからないよう、少し壁の方にもたれながらお酒を飲んでいました。
私「佐久間さんは都合が良いんです。向こうがそういう風に振る舞ってる。都合が良くないと一緒にいてもらえないような、自分に不釣り合いの可愛い子ばかり好きになってたんじゃないですか? 今までも」
『顔ばかり重視して中身を見てない』って言葉があるけど、顔ほど裏切らないものって無いよね。
触られて反射的に「嫌だ」と感じる相手は遺伝子レベルで無理だよ。現に私、いまのヴィヴィアンくんと同じ近さに佐久間さんがいたら耐えれないもん。
好きも嫌いも本能だよ。
ヴィヴィアンくんだって見た目で人を選ぶことくらいあるでしょ。
私の言いたいことを理解したのか、ヴィヴィアンくんは静かな声で言いました。
ヴィヴィアンくん「佐久間さん、俺と食べるときも出してくれますよ。『奢る』って言いだすのが恥ずかしいんじゃないですか? 確かに面食いですが、あの人の優しさも嘘じゃないですよ」
私「…でもヴィヴィアンくんって同性として佐久間さんと関わってるでしょ。私とは立場が違うじゃん」
可愛いって言った口で年齢をイジッたり、結婚しない理由を勝手に想像されたり、そんな人ばかりじゃん。この会社。佐久間さんなんて外部の人間だったし、接点のない人に好意を向けられてるって知ったら気持ち悪いじゃん。
私「私は人のこと言えませんけどね」
ヴィヴィアンくんは持ち上げていたグラスを置き、隣にいる私の顔をじっと見つめました。
ヴィヴィアンくん「俺が嫌いですか?」
私「ヴィヴィアンさんが私のこと嫌いなんでしょ」
ヴィヴィアンくん「そこまで言ってません」
私「この間は不快な気持ちにさせてすみませんでした」
ヴィヴィアンくん「池袋さんのこと可愛いって言ったの俺なんです」
なんて????
もはや処理落ち。話が噛み合ってなかったよね今。よくわからずヴィヴィアンくんを見ると、彼は神妙な顔で目を細めました。
ヴィヴィアンくん「中途採用の張り紙。あれを最初に見たのが俺です」
私「はぁ…」
ヴィヴィアンくん「そのあと喫煙室で佐久間さんに『中途に可愛い子いましたよ』って話振りました。その中に上司さんもいて、喫煙室にいた何人か連れて写真を見に行ったんです」
私「あ…そうなんです…?」
ヴィヴィアンくん「池袋さんが年上なんだろうなって事は所属班で察してました」
所属班で年齢わかるの?
初耳なんだが。
確かに20代後半が多い印象だったけど。
ヴィヴィアンくん「その後の事は関与してないんですけど、上司さんに聞いたら、池袋さんを見に行った野次馬たちが年齢不詳だって騒ぎ始めて、SNSで個人情報を探し当てたって聞いて」
私「どう思いました?」
ヴィヴィアンくん「普通に気持ち悪いなって」
でしょ!?
ヴィヴィアンくん「俺が池袋さんに嫌な態度取った日、上司さんに飲み誘われて知りました。池袋さん、俺のせいで嫌な思いしてましたよね」
私「嫌な思いというか…うーん」
ヴィヴィアンくん「うちの会社男ばっかりだから。可愛い人が入ってきて浮足立ったんですよ。男って単純だから」
いやわかるよ。悪意はないんだよね。
男同士でつるんで、可愛い子がいたらちょっかいかけて。私が若い頃、気弱そうな女の子に絡んでたのと一緒でさ。相手が反応すると嬉しいんだよね。
わかるよ。
わかるけどさ。
私「私もう30歳になるんですよ」
ヴィヴィアンくん「知ってますけど」
どう言えば伝わるかな。
自分よりも年若いこの子に。
私「可愛いって言われて嬉しいですよ。でも……。可愛いって言われて、からかうみたいに声かけられて、やだぁ~って可愛く反応する歳じゃないんですよ」
私が20歳ならできたよ。
25歳なら苦笑いで済ませた。
30歳に向けた男性の『かわいい』は、誉め言葉に見せかけた中傷もあるじゃん。
「歳のわりに」「可愛い」んでしょ。誉め言葉を真正面から受け取ったら「歳考えろ」って平気で言うでしょ。謙遜しない30歳は鼻につくでしょ。
知ってるんだよ、そういうの。
私「男性って、勝手に注目して勝手に評価するから」
あー本音がこぼれる。
できるなら理性的でありたかった。
ヴィヴィアンくんは目を逸らさず聞いてました。
ヴィヴィアンくん「言いたいことはわかるんですけど」
私「20歳の女の子がヴィヴィアンくんに『かっこいい』って言っても問題ないですよね。でも私が言うとセクハラになるかもって」
ヴィヴィアンくん「言うて24歳ですよ俺」
私「私が24歳の頃は無敵だった…」
ヴィヴィアンくん「その卑下が良くないんじゃないですか?」
歳を重ねていくうえで、見た目に対する言葉の受け取り方が変わっていった。傷つけられたことに怒るより、傷ついた自分を恥じて、生き方がどんどん保守的になっていく。
年齢を堂々と言えるうちは分からないよ。
ほどよくお酒も入り、ほどよく打ち解け、ほどよく話したところで、そろそろ帰ろうという流れになりました。
奢る約束だったのに私がトイレ行ってる間に支払っちゃったらしく、日本酒ぱかぱか開けちゃった私は肝を冷やしました。
たぶん1万5千円超えてる…
私「せめて折半!レシート見せて!」
ヴィヴィアンくん「うるっっっ…さいな~。なんで佐久間さんには奢られるのに俺には食い下がるんですか」
私「あの人はマゾだからいいんですよ!」
ぎゃんぎゃん騒ぎましたがレシートは出されず。
ヴィヴィアンくんは背が高いので歩幅が大きく、油断すると置いて行かれます。
私「足早いですって!」
ヴィヴィアンくん「はぁ? なんで俺が歩幅合わせなきゃいけないんですか」
私は漫画喫茶、ヴィヴィアンくんは帰宅の流れです。
メイク落としが欲しくてコンビニを探してたら、土地勘のあるヴィヴィアンくんが連れてってくれました。しかしセブン・ローソン共に在庫切れ。
私が仕事の電話をしてる間にファミマも見てきてくれたんですけど、そっちも駄目らしい。
ヴィヴィアンくん「台所洗剤ならありました」
私「メイク落としが良いです」
遠ざかるオフィス街。
ヴィヴィアンくんの帰宅道ついでに寄れるコンビニを案内してくれてたので、どんどん閑静な住宅街へ…
ヴィヴィアンくん「ここから先のコンビニだと、俺ん家通り過ぎちゃいますね」
私「なら戻ります。駅前のドンキとか」
ヴィヴィアンくん「それかうち」
家?
私「行っていいんですか?」
ヴィヴィアンくん「中には入れませんよ。ただ、家にくれば化粧水と乳液のサンプルもあるから恩を売れるかなって」
私「言い方」
気遣いが女性のそれ
やっぱりこの人は性対象が男性なのかも。
上司と話すときやけに距離近いし。
アボカドと海老食べてたし。
駅から10分歩いたここで引き返すより、残り3分で着く確実にクレンジングがある家に向かう事にしました。
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